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がらくたにっき |

写真を見て顔の小ささに驚いた


織田作之助 「世相・競馬」 2004年 講談社



名前は聞いたことがあっても読んだことがない作家だった。
それが「読書家<狐>の読書遺産」で「虚栄の市」と対になっていたので読んでみたら…これまで読んでいなかったのがもったいないくらい好みだった!

「虚栄の市」と対になっているのは、博打の部分なのかな、というくらいで雰囲気は全然違う。
それでも、根底に流れている、金銭的に豊かとはいえない人達の、生きていくというバイタリティの強さは
どちらにも色濃く出ていたと思う。
実際には「虚栄の市」と対になっていたのは「競馬」なのだが、「競馬」だけではなく、他の作品にも、その強さを感じた。

本書は短編集なので、各話の筋を簡単にまとめる;

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挿絵にあるレベッカが性悪そうで、男を手玉に取る可愛い悪女に見えない


サッカリー 「虚栄の市(四)」 中島賢二・訳 2004年 岩波書店



ついに迎えた最終巻。
結論から言うと、完全なる勧善懲悪にはならない。
それが本書の良いところなのだと思うのだが、性格の悪い私としては、ベッキーがもっともがき苦しんでいるところを見たかったな、というのが正直な感想。

彼女の生い立ちを考えれば、人を蹴落としてものし上がっていくところを爽快に感じてもいいはずだけれども、
サッカリーの描くベッキーは、人格的にどうしても共感しがたい。
それがこの本のエッセンスといったら、エッセンスなのだけれども…

読み終わった直後は、終わり方に納得がいかないところがあったけれども
今となっては、ベッキーのしたたかさが終始一貫しているのも良いかなと思ってきた。

ということで、以下あらすじ;

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父親が子煩悩であるのが恥とされていたのがびっくり


サッカリー 「虚栄の市(三)」 中島賢二・訳 2004年 岩波書店



三巻は話の流れとしては、面白くなかった。
むしろレベッカがひど過ぎて、ムカムカするところがあった。
でも最後は、レベッカの窮地で終わるので、次巻が楽しみである(性格悪)

もう1人の主人公、アミーリアも、うじうじしていて鬱陶しいのだが、
あまりに不幸なので、鬱陶しいという感情より、なんとか幸せになって欲しいという願いの方が強い(できたらドビンと)。

簡単なあらすじは次の通り;

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2巻の結末がカバーのあらすじに書いてあるのがけしからん!!!


サッカリー 「虚栄の市(二)」 2003年 岩波書店



1巻はレベッカの登場率が高く、レベッカが主人公なのかと思っていたが
2巻はエミーリアの登場が多くなる。
多分、他の話だとアミーリアはいらっとするような登場人物だけれども、なぜか「虚栄の市」ではそうでもない。
多分、相手方のジョージが本当に腹立たしいからかもだけれども…

今回も、随所に「作者の視点」が出てきて面白かった。
例えば‥

その晩のうちに、ロードンは細君から、ちょっとした内輪の書き付けを受け取った。彼はそれを丸めると、すぐさま蝋燭の火で燃してしまったが、筆者は運よく、レベッカがそれを書いているときに肩越しに覗き込んで読むことができた。(p193)



簡単にあらすじ;

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実に6年ぶり!



サッカリー 「虚栄の市」 2003年 岩波書店



そういえば、とふと思い出した「読書家<狐>の読書遺産」。
そこに紹介されている本を読むというチャレンジからすっかり遠のいていたことを思い出して
急に再開してみた。

ということで、「虚栄の市」
対する本は「」だが、「虚栄の市」は全4巻に対してそちらは1冊なので、
「虚栄の市」の最終巻あたりで読み始めようと思う。

サッカリーは聞いたことがあったけれども、恥ずかしながら「虚栄の市」を知らなかった。
しかも英語タイトルが「Vanity Fair」と知って、雑誌のタイトルはここから来てるのか!と今更ながら気づいたのであった。。。

「読書家~」に紹介された外国の古典は、あまり外れがないので、面白いのだろうと思っていたけれども
1巻の物語は後半に差し掛かってから俄然、面白くなった。
『物語は』と書いたのは、そもそもこの本の趣向自体が面白いから。
作者という狂言回しが、ちらちらと顔を出し、読者に教訓めいたことを言ったり、許しを乞うたり、注釈を入れたりなんかしつつ話を進めるのだ。

例えば。
物語自体はイギリスの中流階級(多分)の物語になっている。
それを「目下お話しているこの物語が、すこぶる穏やかな調子のものであることは筆者としても充分承知しているつもりである(p129)」などと断りを入れて、上流階級の場合、ロマンスの場合、滑稽話の場合、サスペンス風…などと、試してみた後に、

 御婦人の読者にもおわかりいただけかと思うが、この物語も、筆者にその気があれば、こんなふうに書けたかもしれないのである。…(中略)…しかし筆者には、犯罪常習者どもの使う隠語や彼らの習慣は理解できないし、流行作家の書くところによれば、上流の方々の間では、フランス語やドイツ語が会話の中で飛び交っているようであるから、そんな会話にはとてもついていけそうにない。したがってここは、筆者が一番親しく知っている真ん中のコースを取らせていただくことにした次第である。(p135)


なんて書いてあるのだ。
このちょっとひねくれた感じ、割と好き…

以下、1巻のあらすじ;

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