学問において「あれ?」と思うことがいかに重要かを痛感
岡田温司 「マグダラのマリア」 中央公論新社 2005年
通信大学のレポートに”マグダラのマリア”について少々書く必要があったので借りてきた本。
レポートにはあまり使わなかったけれども、非常に興味深い内容だった。
確かに、聖書にはマグダラのマリアが娼婦であるなんてどこにも書かれていないのに、なんで娼婦というイメージがついたのか、というのはよく考えると非常に不思議なことで、それに気付かなかったのが地味に悔しかった。
本書を読んでいくと、西洋の文化において、女性蔑視がいかに根深いのかがよく分かった。フェミニズムが近代において重要な動きであったり、つい最近でいえば「#MeToo」がいかに大きな波紋を呼んだのか、というのは、この根深さを知れば納得しかない。
もちろん、日本をはじめとして他の文化圏でも女性問題はある。しかし日本では天照大神が女性神であったり、歴史上に女性が出てくることは稀にでもある。それに対して、マグダラのマリアが元々あった特権をいかにはく奪されていったかを見れば、それをベースにしたキリスト教、更にそれをベースにしたヨーロッパ文化が、どれだけ根深いのかが想像できる。
正直、イギリスにいた時も、フェミニズムについての女性たちの鋭い口調に、時々へきえきとさせられていたところがあったけれども、これを読んで心の底から納得した。
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