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がらくたにっき |

塩田武士『罪の声』

著者 : 塩田武士
講談社
発売日 : 2016-08-03

図書館で地元の作家さんコーナーがあって、地元の大学出身ということで置いてあった本。
映画化されていたのもあってタイトルは聞いたことがあっても読んだことがなく、借りてみたら…

めっちゃ面白い!!!!!
そりゃ映画化されるわ!ってくらい面白かった。
グリコ・森永事件を下敷きに書かれているのだが、
元記者というだけあって、リアリティがはんばないし(実際の事件にできるだけ近づけたということらしい)、
だからといって固すぎずに読みやすい。そのバランスがすごい。

それだけではなく、加害者に加担させられた子どもたちに焦点をあてた、というのも新しい発想というだけではなく、
作者の信条というか、思うところをきちんと明示されている気がして、読み応えがあった。

以下、簡単なあらすじ。激しくネタバレなので注意!

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Category : 小説:現代
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須賀しのぶ『革命前夜』


本屋さんで見かけた本。ポップに惹かれて面白そうだなと思って手に取ってみた。
直感は正しかった。面白かったーーー!!!

常々、読書の醍醐味の一つとして、自分が絶対経験できないことを本の登場人物を通して追体験できることだと思っているのだが、まさにそれが体験できる本だった。
時代はまだドイツが東西に分かれていた時代。日本人が東ドイツへ音楽留学するお話で、その日本人、眞山柊史を主人公に物語が展開される。
東ドイツがどんなのであったのかは映画でしか観たことがなかったので、小説で、しかも日本人の目で体験できたのは非常に面白かった。

しかも華々しい話という感じではなく、ドイツのどよんとした暗い雰囲気がよく表れたような静かな物語だったというのもポイントが高い。
東ドイツ(DDR)の体制の中で葛藤するドイツ人、音楽のことで思い悩むシュウジ、色々なものを背負ってやってきた他の留学生。暗い雰囲気の中で光となる音楽。
そのバランスが絶妙で、初めての作者だけれども、良い本に巡り合えたなという感じ。

以下、あらすじ。

Category : 小説:現代
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マルコス・アギニス『天啓を受けた者ども』

作品社
発売日 : 2010-01-28

なんとなく骨太な海外の本が読みたくて、あまり内容を覚えていなかったけれども『逆さの十字架』が面白かったことは覚えていたので読んでみた。
そこそこ分厚い本なのに二段組の印刷になっているので、ページ数よりも長く感じる本。
更に物語も濃厚なので、読了後の感覚は、それ以上の長さに感じた。
でもその長さが苦痛というわけではなくて、ぐいぐいと読める内容。

ドラッグの話も出てくるので、少し前に読んだ『テスカトリポカ』を思い出したけれども、その2・3倍感じる物語量だった。『テスカトリポカ』も割と長かったけれど。

というわけで、読了後の達成感たるや。
そして終わり方も良かったので気持ちよく読み終えられたのも点数が高い。

簡単にあらすじを書くと…

Category : 小説:現代
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福田和代『梟の一族』

著者 : 福田和代
集英社
発売日 : 2019-02-26

何かの拍子で、作者の福田和代氏のブログを読むことになり、「作家さんなんだ」ということもそこで知り、
書かれた本を見てみたら『梟の一族』と面白そうな本を書かれていること知り、さっそく読んでみた。

結論から言うと、申し訳ないけど、そこまでかな…という感じだった。
むしろ、同じ登場人物で違う路線からの物語だったらもっと面白かったような気がするんだけど…と失礼なことを思ってしまった。
この感想の詳細を書く前に、簡単にあらすじを書くと…

滋賀県の山奥にある里。そこは不思議な能力を持つ者たちが住んでいた。
その能力とは、決して寝ることがなく、更に身体能力に優れているというもの。
主人公史奈は、里で唯一の若い女の子で高校にあがったばかり。祖母と二人だけで住んでいる。
ある晩、誰かが襲ってきて、祖母に命じられた通り、隠れ場所に避難し、朝が来てから抜け出すと、里が焼け野原になっていて、里の者が1人遺体である以外、皆いなくなっていた。

途方に暮れていると、里を昔出た一家の息子と娘がやってきて、緊急事態を史奈の祖母から受け取り、助けにやってきたと言う。
二人に連れられて東京に行く史奈。
しかし、二人が偽物と気付き、二人からも逃げ、言い伝えである避難場所に行く。
なんとか本物とも出会い、生き別れとなった父親にも出会い…という話。

両親は史奈を置いて里を出たのだが、その理由は、この”寝ない”という特性がどういうものかを研究したかった為だった。
祖母の反対を押し切る形となったので、史奈は祖母の元に置いていくしかなかったという。
更に、その後、母親は行方知らずとなっていたことも分かる。

調べていくうちに、里を襲ったのはある研究機関だったことが分かる。
また梟の一族には<シラカミ>という病があることも、史奈は知る。それは里から長く離れた梟がなることが多く、身体がまったく動かなくなる病気だった。梟ではそれを忌み嫌い、隠す存在でもあった。

その研究機関のトップは、梟の一族でまれに生まれる、何の能力もない<カクレ>が里から追い出された末、生れた子供だった。
隔世遺伝のためか、本人は寝る必要がなく、それを解明するためにも梟たちを集めて研究しようとしたのだった。
因みに、史奈を東京に連れ出した二人のうち、女の子の方はトップの娘で、そこに収容されていた史奈の母親の依頼で史奈を助けに行ったのだった。

史奈たちは収容された里の者や、史奈の母親を助け出そうとするが、彼らは頑として出て行かないと言う。
そしてここで研究の協力をすると言うのだ。

最終的には、研究機関のトップと、それに協力していた警備会社の社長で、同じく梟の一族だったものの<シラカミ>を出してしまったことで里から出た者たちとで里に戻る。
警備会社の社長は史奈の母親に不満があり、殺そうとするが、色々とすったもんだあったきり、彼の方が死んでしまう。また史奈の祖母もかばう内に亡くなってしまう。

最終的いは、史奈は祖母から里の長みたいな地位を引き継ぐ。
更に、梟の能力を維持するには井戸の水を飲む必要があることが分かったので、里から出た元梟の一族も呼んで、今後は井戸の水を確実に定期的に飲めるようにしようというところで話がまとまる。

と、ざっとしたあらすじはこんな感じ。

読んでいる時は、「どうなるんだ!?」とワクワクしたけれども、色々と解明されていく内に「なーんだ…」感が強くなる。
結局関わっているのが梟関係の人なので、結構世界が狭いのが、一番の「なーんだ」感の要因だと思う。
これがもっと大きな組織で、この能力を持っている人は静かにひっそりと暮らしたいのに、政府とか、もっと大きく世界の闇組織みたいなところが、梟を使おうとして追いかけまわす、という方が面白かったなー…みたいな。

もしくは、異能系の話でいえば、そういった能力を使って暗躍する…みたいなのが一番ワクワクするよなと思ったり。
もしかしたらそういうのを書きたかったわけではないかもしれないけれども。

あと割と興ざめだったのが、史奈が、最初に助けてもらった二人組の男の人の方とあっさり恋に落ちるところ。
しかも男の方も…
割と短い話で、人物描写もしっかりしてないなか書かれると、なんだかとてもチープに感じてしまう。

と文句ばかり書いてしまったけれども、題材は面白かったのに色々と惜しい…と思ってしまったから。
なので、根本は面白かったと思う。


福田和代『梟の一族』2019年、集英社

Category : 小説:現代
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名前だけでなく苗字も「細雪」のオマージュなのね


三浦しをん 「あの家に暮らす四人の女」 2018年 中央公論新社


三浦しをんのエッセイというと文句なく好きなのだが、だからこそなのか何のか、小説は結構当たりはずれが激しい。
(”だからこそ”と思ってしまうのは、これをあのしをんさんが書いているのか…と思ってしまうという意味で。。)
今回のは正直なところ、はずれだった…織田作之助賞受賞作というのが、「本当に!?」と思ってしまうほど。

なんだろうなぁ~この四人の女性が一緒に住んでいて、結婚する予定もなくいるのが割と面白そうと思ったんだけれど
ちょっとだらだらした感じとか、突然の不思議設定とか、テンポというかノリについていけなかったのが、
主な敗因かと(私の)…

以下、簡単なあらすじ⇓

Category : 小説:現代
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