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がらくたにっき |

表紙の喜蔵らしき人物に月代があるのはおかしいのでは

小松エメル 「一鬼夜行」 2010年 ポプラ社



ブクログに「読みたい本」として登録したまま、まったく読んでいないものを消化していこうプロジェクト。
確か、本屋さんで面白そうだなと思って登録した本。

デビュー作だからかもしれないが、あまり面白くなかった…
文章もちょっと気になってしまう。
しょっぱな文章で「二つの影の周りには、ごつごつとしたいびつな丸の岩が無数に転がっているだけで、燈を発しているはずの灯りはおかしなことに一つも見当たらぬ」(p8)って、なんか『かゆい~~~』と思ってしまう文章だった。
変に「燈」やら「灯り」やら漢字を使って使いこなせていない感じなうえに、最後に「見当たらぬ」って、「見当たらない」の方がよくない!?と思ってしまったのだ。
ちょっと頑張って書いてみました、みたいな文章に思って仕方なかったのだ。

話もとても微妙…
百鬼夜行に連なる小鬼が、百鬼夜行からはじき出されて地上に落ちてしまう。
そこが、古物屋をしている喜蔵の家だった。
喜蔵は若いながら両親を亡くし一人で住んでいた。
しかも、鬼よりもよっぽど強面の男だった。
こうして小鬼・小春との共同生活が始まる。

正直なところ、随分前に読んで、レビューを今書いているのだが
すっかり話を忘れてしまった。。。
そして読み返すのは時間がもったいなく感じるくらい、あまり大した話ではないので(失礼!)
結論だけ書くと小春は百鬼夜行に戻ったところで話が終わる。

一応それまでに、各登場人物がひねった経歴で、それが解き明かされる感じになる。
例えば、喜蔵は父親が母と自分を置いて尊王志士になるといって飛び出してしまったり、
祖父が亡くなった時に、親友が喜蔵の親戚にだまされて、祖父の道具箱を渡してしまったせいで
遺産がなくなり、それから親友含め、人を信じられなくなったり。
すき焼き屋によく行くので、その女給仕に恋をしているのかと思いきや、
実はその子は、喜蔵と生き別れの娘だったり。

河童も出てくるのだが、河童の半生みたいなのも語られる。

そして小春は、小鬼になる前は猫股を目指していた。
猫股になるのには情を交わした人間の頭が必要なのだが、
その人間の頭を取ることができなくて、猫股をあきらめたり…

今書いてて思ったが、とりあえず、各登場人物のバックグラウンドが濃すぎて
焦点が合ってないから面白みに欠けるのかと。
”今現在”の話の密度が薄かったのも印象に残らなった理由かも。

シリーズものになっているらしいが、これから面白くなるのだろうか?
多分、読まない気がするが…

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Category : 小説:怪奇
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ここのところ面白い本に出合えていない気がする…

有栖川有栖 「幻坂」 2013年 メディアファクトロー




本屋さんで平積みになっていたかなんかして、
久し振り有栖川有栖を読んでみようと、読みたいリストに入れていた本。

図書館で借りてみたら…
こんなに有栖川有栖ってつまらなかったっけ?と思うくらい面白くなくてがっかりだった。

大阪の天王寺七坂が舞台となって、霊的な意味でちょっと不思議な話の短編集。
読むのが辛いと思うくらいのつまらなささだった。
ただ、「真言坂」だけが良かった気がする。

以下、簡単なあらすじ;

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猿渡はやっぱりぷらぷらしてる方が好き

津原泰水 「猫ノ眼時計」 2012年 筑摩書房




図書館でいそいそ借りつつも、間に「ピカルディの薔薇」が入っていて、そちらを慌てて借りて読み終わったので、こちらに戻ったという「猫ノ眼時計」。
結果的に言うと、時系列に並んでいるわけではないので、どちらを先に読んでも大して変わらなかった。


何度も言うが文章が好き。
例えば、本書の出だしは

 「こんなところで再会できるとはね」というおれの科白で幕が開く。(p7)

なのだが、こんなキャッチーな文章から始まって淡々と物語が始まるのが素敵。

本書も連作だったので、簡単にあらすじを書くと;

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ゲテモノ喰いの話がいつも強く印象に残るのだが、これは願望なのだろうか

津原泰水 「蘆屋家の崩壊」 1999年 集英社




本屋さんをぶらぶらしている時に、なんとなく目にとまった「蘆屋家の崩壊」。
津原泰水氏のは前にも読んだことがあって、文句たらたらに読んでたくせに、なんだか心に残るお話だったという記憶があり。
今回はどうだろう、と思って読んだのだが。

なかなか面白かった!!!

なんというか、好みの淡々具合と飄々具合。
主人公が割と飄々としつつも、蟹を怖がっちゃうところとかが好き。なんとなく「百鬼夜行抄」の律と同じようなスタンスなのが良かった。
雰囲気も「家守綺譚」みたいだし。「家守綺譚」みたいに繊細な感じじゃないけれども、それはそれで大変いい。

主人公は30過ぎても定職についていない男・猿渡。
ひょんなことより、怪奇小説を書く作家であだ名は伯爵、という人と出会う。
二人とも大変豆腐好きで、そこから仲良くなって旅に出かけたりなんだしている。

基本的にこの二人がタッグを組んで色んな不思議に遭遇するという連作物。
(この下大変ネタばれ)

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