塩野七生 「ローマ人の物語10 ユリウス・カエサル ルビコン以前[下]」 平成16年 新潮社
相変わらずのんびり読んでいる「ローマ人の物語」。本書は割と動きのある巻で面白かった。
三頭政治の1人である、クラッススは周囲の反対を押し切ってパルティア遠征に乗り出す。
お金も持っていて地位もあったクラッススだったが、大きな戦勝の実績がなく焦っていたと思われる。
ただ、金持ちだったで逆にケチで、軍の数をケチってしまう。
それもあり、パルティア王国で敗北を期し、クラッスス本人も、またとても優秀でずっとカエサルの元でガリア戦役に従事していた彼の息子も戦死してしまう。
こうして三頭政治の1人が死んでしまったのだ。
更にポンペイウスの妻でカエサルの娘も死んでいたので、ポンペイウスとカエサルの絆も薄くなっていた。
そこに元老院が目をつけ、ポンペイウスを自分たち側に取り込もうとしていたのだった。
カエサルにとって政治的危機が迫っていたが、カエサルはそちらに眼を向けていられなかった。
ガリア民族が初めて、団結してローマに反逆してきたからだった。
最終的にカエサルは勝利するのだが、戦役の事後処理中もローマで更に不利な状況になっている。
そこを、まさかの反カエサル派だった青年を取り込み、スパイのようなことをさせるというのが、なかなか面白かった。
以下引用
塩野七生 「ローマ人の物語9 ユリウス・カエサル ルビコン以前[中]」 平成16年 新潮社
前の巻から大分空いてしまったローマ人の物語シリーズ。今まで図書館で借りていたのが、この巻は買って読んだのが、なかなか進まなかった理由かと思う。
この巻では、カエサルがいよいよ活躍しだして、ガリア戦記の時代となる。
ただ戦いの内容の問題なのかもしれないが、ハンニバルの時みたいなワクワク感はない。
カエサルにハンニバルのような魅力を感じない、というのは、完全に個人の好みの問題かと思うが…
簡単な流れとしては、ポンペイウスとクラッススを結び付けて「三頭政治」を始める。
それを背景に、ローマを離れ北の方へ制定しにいくのだった。
というのは、ガリア人が移動する動きが起こり、その原因となるのがゲルマン民族が侵攻してきたからだ。
ガリア人が移動すると、必ず問題や戦が発生する。
その地域を収めていたローマとしては避けなければならないところだったのだ。
以下、気になったところを抜粋していく;
塩野七生 「ローマ人の物語8 ユリウス・カエサル ルビコン以前[上]」 平成16年 新潮社
やっとカエサル登場!
ただし、まだまだ活躍をしない。
且つ、7巻と被る所が多々あって、あまり先に進んでいない感があり、
まだ面白いところに来ていない。
あんなに有名なカエサルなのに、若い頃から突出している訳ではなかったのは初めて知ったことであった。
しかも名門の生まれではあったかもしれないが、先祖代々何をやっていたのかもよく分かっていないし
生まれ育ったところも、名門の裕福層が住むパラティーノではなく、庶民が住むスブッラだったというのも驚きだ。
本書は、カエサルの幼少期から、スッラの改革によりローマを追われる身になり、
ローマに戻っても出世街道まっしぐらというわけでもなく、むしろポンペイウスの方が華々しく活躍していて、
やっと37歳で最高神祇官に選ばれ、名前をあげてくる、というところで終わる。
次巻から面白くなりそうなので楽しみである。
以下、本書で気になったところを抜粋していく。
塩野七生 「ローマ人の物語7 勝者の混迷[下]」 平成14年 新潮社
相変わらず政治の話で、しかも成熟してきて色々と破たんがきている頃のものだから
あまり勢いもなく、ちょっと失速感は否めない。
しかし、今回の最初の立役者であるスッラは、
塩野さんが好きな人物っぽく、面白く書かれていたので
政策がどうであれ、人柄に惹かれてしまった。
墓碑に
「味方にとっては、スッラ以上に良きことをした者はなく、敵にとっては、スッラ以上に悪しきことをした者はなし」(p79)
と彫らせたというエピソードを読んで、
この人を食った感じがなんとも言えず好きだなーと思ってしまった。
また、今、「ローマ」というドラマを観ているのだが、
そのドラマがポンペイウスの没落から始まるので、
ポンペイウスが出てきて活躍し始める本書は、
ドラマの前日譚を読んでいるようで面白かった。
カエサルはもちろんのこと、キケロやカトーの名前が出てくると、
「あの人か・・・ふむふむ」と思ってしまう。
以下、簡単なまとめと気になったところの羅列;