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がらくたにっき |

『絵本作家のアトリエ』

図書館でたまたま見かけた本。
今でも大好きな作家さんの名前が連なっていて思わず借りて帰ってきた。

世代が世代だからか、戦争を経験し、戦後復興の中で頭角を現していった方が多かった。
特に戦後に絵本のブームが来て、その時に優れた作家が数多く生まれたようだった。

名前としては知らないけれども、作品を見た途端に「あー!この人!」と、その他の絵の記憶が出てくるというのが
各作家さんが持つ個性の魅力によるものなのかなと思った。

個人的に、安野光雅さんが自分の仕事場を見せるのが嫌、でも人の仕事場を見るのは好き(笑)、
嫌いな理由に、仕事場に並んでいる本を見られるのがなんだか恥ずかしい、というのに共感しかなかった。
安野光雅さんが好きなので、一緒なのが嬉しいというか。

中川宗弥さんの絵本は知らず、最初の方は全然ぴんと来なかったけれども
『ももいろきりん』であー-------!!!!となった。
小さい頃大好きな本で、色といい、絵の描き方といい、他の絵本とは違うという感覚を鮮明に覚えていて
抽象画家と読んで、あの時の「他の絵本と違う」感覚はこれなのかなーと何年も経って答え合わせ的に感じた。

あと大好きといえば、薮内正幸さん。
挿絵を描かれた『冒険者たち』をはじめとした、ガンバと仲間たちシリーズが、めちゃくちゃ好きで好きで仕方なかったので
またもや名前を知らなかったけれども、この方だったのねー--となった。
あの本は、このリアルな絵だったからこそ生きた本だと思う!
動物の冒険譚というと可愛く描きがちだけど、それをあえてリアルにしたところに骨太な物語の印象を強めたというというか。
「ネズミが立ち上がったとき、動物学者が見てもおかしくないように描くんだ」と、ネズミの大きさとバランスがとれるよう、ミニチュアのウィスキーの瓶やおもちゃのサイコロを手に入れ、スケッチを重ねていたという。(p79-81)
他の作家さんにも通じるけれども、たくさんの工夫・努力をして、子供だった頃の私にワクワクをくれてありがとうという気持ちになった。


以下、本書に掲載された絵本作家さんたち;
  • 長新太
  • 堀内誠一
  • 中谷千代子
  • 中川宗弥
  • マーシャ・ブラウン
  • 薮内正幸
  • なかのひろたか
  • 梶山俊夫
  • 得田之久
  • 秋野亥左牟
  • 安野光雅
  • せなけいこ


『絵本作家のアトリエ2』2013年、福音館書店

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Category : その他
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どこまでを無縁死と定義づけるのが難しいかも


NHKスペシャル取材班 「無縁社会」 2012年 文藝春秋


随分昔に参加した読書会で(多分、この本が出版されたころ)、勧められた本。
やっとこさ借りて読む。

正直のところ、読んでて楽しいものではなかった。
テーマも愉快なものではなかったけれども、書き方もむやみに不安をあおるような書き方だと思ったし、
それが仕事だからしょうがないと思いつつも、躊躇する人にぐいぐい行く取材班にもげんなりした。

例えば、最後の方で無縁死だと思っていた人が、生前、非常に親しくしていた家族がいることが分かる。
ただ、本人は何かをきっかけに自分の家族とは縁を切って、その地に移り住んできていたのだ。
仲良くしていた家族の子供たちからしたら、第二の父親というくらいの中の良さだったのだが、亡くなっても、自分たちのお墓に入れることができない。実際の家族が分からないということで無縁死扱いになっていたのだ。
その交流を見ると、遺体が引き取られない状態であっても、決して”無縁”死ではなかったのが分かる。
なのに揚げ足を取るかのように、子供に送ったアルバムに「ほんのちょっぴり思い出して」と書いている文章を読んで、取材班が「その言葉で木下さんが抱え続けた孤独の深さを知った。(中略)自分自身が生まれてきたことを、誰かに覚えておいて欲しいという想い――。」(p287)って、え!?それって違うんじゃない!?
普通に旅立つ子に写真のアルバムを渡す時に、思い出話と共に「私のことも時々思い出してね」くらい書くでしょう!?
それをこんな風に曲解して出すって、なんかおかしくない!?

とまぁこんな違和感が随所にある。

少し内容を引用してしまったが、本書の概要を端的に言うと、家族の在り方が変わっていく社会の中で、亡くなっても引き取り手がなかった人たちの人生を追うことで、現代社会の”縁”を問う、といったところだろう。
結婚していない、もしくは離婚して家族がいない人だけが対象、というわけではなく、夫・妻に先立たれて…というケースもあるので、この結末は、誰にでも起こり得ることだろう。
無縁社会の問題を提示しただけで、だからどうだという解決策も何もないのだが(そもそも解決策がないだろうけど)、
1つ思ったのが、将来、死生観が変わるのではないかなということ。

そもそも、宗教の色が薄くなっている現代社会において(もちろん、信仰心の強い人はまだいるかもしれないが、それは置いておいて)
”お墓に入る”ということが、どこまで重要になるのだろうか。
お墓の概念が変わって、「入るべきお墓がない」という発想がなくなれば、無縁死にある孤独さは少しでも減るのではないかと思う。

それとも人間は後世に何かを残したい生き物だから、なかなかその発想は変えられないのだろうか?
自分がまだ孤独感を感じていないからか、楽観的に考えてしまっているのかもしれない。
『そんなに不安を煽って…そんなにひどいかな…』と何度も思ってしまった。

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まえがきが一番良かった

水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子 「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」 2010年 文藝春秋


図書館で偶然目について、面白そうと思って借りてきた本。
タイトルの通り、水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘たちの対談集。
この時は水木しげるはまだご存命のよう。

まあまあ面白かったけれども、よく考えたら、良く読んでいたのは手塚治虫漫画くらいで、それこそ赤塚不二夫作品なんて、アニメですらほぼ観たことがない状態。
なので、あまりのめり込むことができなかった。

ただ偉大な父を娘たちがどう見ていたのか(当たり前だけど、普通の父親として見ていた)というのが、ギャップとしては面白いのかなとも思った。

本当に、この3大先生のファンで、作品も読んでいて、エピソードなども知っていたら、もっと面白かったかもな、と思った。
逆に私は、「娘が父を見る視線」というのに共感は得られた気がする。

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フィルムで撮ってみたくなった

菅原一剛 「写真がもっと好きになる。」 2008年 ソフトバンククリエイティブ




読書会で紹介された「写真がもっと好きになる。」。
あまり写真に興味がなかったけれども、この本を読んでる時は写真を取りに行きたくなった。できたら一眼レフとかで!

気持ちをこめてシャッターを押そう、とか光を意識してとろう、とか、ちょっとしたアドバイスが入っている。
時々テクニックなところの説明が書いてあるけれども、ほとんどが精神論とか、写真を撮る時のちょっとしたアイディア(写真を繋げていくとか)が入っている。

挿入されている写真も非常に素敵で、一冊買って手元に置いておいていいかなぁと思った本だった。

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異端裁判のすさまじさが印象的

岩根圀和 「物語 スペインの歴史」 2002年 中央公論新社




読書会の課題本だった「物語 スペインの歴史」。
私にしては早く読み終わって、しかもつっこみ所満載の本だったので、非常~~~に読書会を楽しみにしていたののに…激務のせいで断念せざるを得なくなり…
本当に本当に無念だった…

本書はただのスペインの歴史書ではない。
タイトルの通り、“物語”風歴史書なのだ。
だから一体どこまでが史実なのか分かりにくいところがある。
それが難点といえば難点なのだが、逆にそれだからこそ読みやすかったとも言える。

もうひとつ特徴的なのが、歴史を漫然と語るのではなく、時代をしぼって語っているところ。
目次はこんな感じ;
 第1章 スペイン・イスラムの誕生
 第2章 国土回復運動
 第3章 レパント海戦
 第4章 捕虜となったセルバンテス
 第5章 スペイン無敵艦隊
 第6章 現代のスペイン

セルバンテスというのが「ドン・キホーテ」の作者。
どうやら本書の著者はセルバンテスの研究をしている人のようで、やたらとセルバンテスが出てくる。
第3章の「レパントの海戦」から第4章「捕虜となったセルバンテス」まで、特に4章なんて彼の為の章。
「ドン・キホーテ」を読んだことなかったので、セルバンテス自身の波乱万丈な一生が新鮮な驚きだった。

また、イスラムとスペインの関係が面白かった。
1492年までスペインでは常に、キリスト教徒とイスラム教徒が共存していたらしい(p53)。
というのが、イスラム支配下であった時、イスラム為政者は決して改宗を強制しなかったからだ(p56)。
だが、15世紀からイスラムを排除し、キリスト教徒になるよう強制されるようになる。そもそも、その動きはイスラムだけではなくユダヤ教にも及んだようだが。

ある意味、イスラムと共存していた歴史があるから、逆に走ったのだろうか。
それからはイスラムとの確執が起き、「レパントの海戦」へと繋がるのだった。
一応、この海戦はスペインの勝利に終わる。

ここら辺についてもうちょっと知りたいと思ったのだった。

余談だが、トマトが新大陸発見と共にヨーロッパに入って来た野菜ということを初めて知ってびっくりした。

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