柴田よしき 「少女達がいた街」 平成11年 角川書店
恩田陸同様、私にとってどれをとっても外れがあまりないのが柴田よしきである。
本書「少女達がいた街」も期待通り、というか期待以上に面白かった!
何せ一気に読んでしまい、ただいま朝方の4時なんだから。
思うに柴田よしきのハードボイルド系の花咲シリーズとか、本書ってどことなく桐野夏生を思い起こさせる。桐野夏生よりも陰の部分が少ない気がするが。
といっても桐野夏生の方は沢山読んだわけではないので、なんとなくの感覚でしかないのだが、筆致の手触りが似てる感じがするのだ。
それはさておき、
柴田よしき 「遙都 混沌出現 City Eternity」 2002年 徳間書店
また前作をちょっと忘れた頃に読み始めた「遙都」。
おかげで何人かの登場人物は「だれだっけ?」状態。何せ大量にいるし、一人ひとり割りと大事な役だし。
タイムリーで読んでる人は、新刊が出るたびに前作を読み直して読んでるのかしら?
それはさておき、
住井すゑ 「橋のない川(一)」 昭和56年 新潮社
年末に友人のイギリス人に、部落問題について聞かれることがあった。
その時、自分にはほぼなんの知識もないことに気付いた。
歴史的背景やその存在は知っているけれども、実体はまるっきり知らなかったのだ。
ということで、手始めに「橋のない川」を読んでみようと思った。
時代設定はちょっと古いので、up to dateという訳ではないかもしれないけれども、これをいい機会にと読んでみた。
江戸川乱歩 「日本幻想文学集成⑭ 江戸川乱歩」 別役実編 1992年 国書刊行会
以前読んだ、谷崎潤一郎の「白昼鬼語」にて江戸川乱歩の「押絵と旅する男」が言及されたので読んでみた。
比較をされていたから比べてしまうが、私は谷崎潤一郎の「白昼鬼語」の方が面白かったな、と思う。
エミリー・ブロンテ 「嵐が丘」 鴻巣友季子訳 平成15年 新潮社
「書評家<狐>の読書遺産」の2組目、「思い出のマーニー」と対をなしているのが「嵐が丘」だった。
そかも鴻巣友季子さんの訳が、それまでの訳から飛躍的に発展した、といった趣旨のことが書かれていたので、あえて鴻巣友季子訳のを買ってみた。
実は若い頃、文学少女をきどっていわゆる“文学”と呼ばれている本を読み漁っていた。でもその中に「嵐が丘」は入っていなくて、それはなんでかというと「ジェーン・エア」を読んで、ほとほと懲りてしまったからだった。
あの陰気さと、なんだか分からないけど狂気めいた感じが本当に馴染めなくて、同じ姉妹が書いた「嵐が丘」なんて、手を伸ばす気が全然しなかったのだ。
でも常々「嵐が丘」を読まなくては!なんていう義務感(?)を感じていたので、「書評家<狐>の読書遺産」がいい機会だと思って、図書館から借りても期間内には絶対読み切れないだろう、という自信のもと、書店から購入したのであった。
そしたら
面白かったーーーーーーーー!!!!!
こんな面白い本をずっと読まなかったなんてなんてもったいない!と心から思う。
ジョーン・ロビンソン 「思い出のマーニー 下」 松野正子訳 1980年 岩波書店
「思い出のマーニー 上」があまりに面白くて、いそいそ下巻に手を伸ばしたらあっという間に読み終えてしまった。
相変わらずマーニーとの関係を築いていくアンナ。
ところが、マーニーが恐怖心を抱いている風車に、夜訪ねて行った日からその関係が変わる。
風車にはマーニーがいて、二人して風車の2階から降りれなくなってしまったのだ。ところが二人が疲れて寝ている間、マーニーは自分を探しに来た人とアンナを置き去りにして帰ってしまうのだった。
ショックと悪天候より、大風邪をひいてしまうアンナ。
病後、意を決してマーニーを訪ねると、あっという間に仲良くなってしまうのだが、マーニーは遠くに行かなくてはいけないという。
マーニーとの別れのシーンである、嵐のシーンは切なかった。
アンナは、もう一度、窓を見上げました。マーニーの顔は、目をくらませる激しい雨のむこうに、もう完全に消えていました。それでも、アンナは、さよならの気持ちをこめて、ほほえもうとしました。激しく手をふりました。…(中略)…ふと顔を上げたアンナの目に、やしきはやっぱり、からっぽに見えました。じっとこっちを見つめているような、からっぽの、どの窓のうしろにも、だれもいないようでした。やしきは、もう長い間、ずっと空家だった――ように見えました。(p34)
それからまた一人ぼっちになってしまったアンナ。でもだんだんとマーニーの記憶が薄れていく。
そんなときに新しい出会いが訪れる。
マーニーの家に引っ越してきた5人兄弟だった。
そのうちの一人が、マーニーの日記を家の壁の隙間から見つけた、と言って見せてくる。
マーニーとは一体誰だったのか?
というのが下巻の流れとなるのだが、ま 結果は上巻の頃から薄々感じていた通り、そして別れにシーンからも推測できるように(ここからネタばれ注意)
ジェーン・ロビンソン 「思い出のマーニー 上」 松野正子訳 1980年 岩波書店
「書籍家<狐>の読書遺産」内の2組目の内、「思い出のマーニー」上巻が、2010年初の読了本となりました。
ちなみに対になっているのが「嵐が丘」で、それもほぼ読み終わりそうです。
「思い出のマーニー」は「嵐が丘」と打って変わって、ちょっとファンタジー的要素が入った物語。というかそもそも、「思い出のマーニー」は児童書なので、“愛と復讐の物語”といった態の「嵐が丘」とか比べ物にもならない。
ただ、どちらもイギリス人によりイギリスの物語で、登場人物が一癖あるのは共通点っちゃぁ共通点かもしれない。
でも物語が似ているかという点では、「秘密の花園」とか“グリーン・ノウシリーズ”の方が全然似ている。
主人公のアンナは、「秘密の花園」のメアリーのように一風変わった子で、大人より“扱いずらい子”という認定を受けている。