加藤実秋 「インディゴの夜 Dカラーバケーション」 2010年 東京創元社
本屋さんの店頭でたまたま、「インディゴの夜」シリーズの新刊が出ているのを知って、図書館で調べてみたら、まだ入荷(というのか?)されていないことが判明。初めて図書館に買ってもらった本と相成った。
本書は新キャラが登場し、相変わらずの晶さんの鋭いツッコミがさく裂し、私にとっては十分な内容だった。
それと、憂夜さんの過去がちょろ~~りと出てきて、それも見どころだったかな。実は憂夜さんにはまったく興味がないので(むしろ憂夜さんに対する晶さんのツッコミが私にとって目玉)、「あ 憂夜さんって謎多き人だったわね」と今更ながら認識してしまった。
とりあえず、軽く読めるので、エンターテイメントを求めるのには良い本だと思う。
ドラマ化やら舞台化されているみたいだけど(確か)、それもうなづけるような内容。ま、私は観たくないけどね。
さて本書に収録されているのは以下の通り;
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池波正太郎 「剣客商売一 剣客商売」 平成14年 新潮社
実は時代小説が割りと好きなくせに、池波正太郎を読んだことがなかった。
でも友人が好きだというし、その友人と神楽坂散策をしてみようゼ的な話になったとき、「剣客商売」によく出てくるって言われたし、で読んでみた「剣客商売」。
いや~~面白かったーー
時代小説だし、池波正太郎ってなんか有名だし、勝手な先入観でもっと堅い話かと思っていたけれど、割と軽く読みやすい。
強いて言えば、宮部みゆきの「震える岩」シリーズをもちっと堅く、主人公を侍にした感じといえばいいのか。
短編連作集のようになっていて、謎や問題を解決していくのは、堅いどころかエンターテイメントの真髄をいっていると言っていいと思う。
いやはや、今まで読まなかったってのが実にもったいない!
秋山小兵衛・大治郎親子が軸となって話が進むのだが、個人的には大治郎のほうが主となる話が面白かった。
小兵衛のほうは、割とすごすぎて何でもすぐ解決してしまいそうだし、大治郎の愚直なまでの実直さが好感が持てた。
特にこの頃、この“実直”キャラがはやらないからかどうか知らないけれども、なかなか“いい役”で登場しない。でも、大治郎は実直でも愚鈍でなく成果をきちんとあげる、それでいて嫌味でもなく人間味もちゃんとある。うん、なんかいいな、と思ってしまったのだ。
佐藤多佳子 「しゃべれども しゃべれども」 平成12年 新潮社
ずっと昔に友達が薦めてくれたのをふと思い出して、図書館から借りてきた「しゃべれども しゃべれども」。
本屋で勝田文さんが漫画化したのを見るたびに、原作読んでから、と思いつつ、月日は流れ・・・
借りてきてみて気づいたけど、今、「志ん朝の落語」集を読んでるから丁度よかった!
そして、私がこれまでの人生で一度だけ行ったことのある寄席・末広亭がちらりと出てきたのも、なんとなく親近感がわいてよかった。
話し全体的な感想としては、友人が薦めただけあって面白かった!
落語が題材というのもあって、割と軽く読めたので、息抜きに丁度良かった一冊だった。
佐々木丸美 「雪の断章」 2008年 東京創元社
mixiで見つけた読書会に参加した際に、その人のプレゼン本ではなかったけれども、雑談の中で勧められたのが本書「雪の断章」だった。
でもメモしたタイトルは「雪の代償」。
図書館の検索をかけても、Amazonで検索してもヒットせず。そうなると余計読みたくなるのが人というもの。
その人のmixi名とかを忘れてしまっていたのもあって(ひどい!)たどり着くことはないかと思いきや、その読書会の副主催者の方に名前を聞いて、ドキドキしながらメッセージを送ってみた。
快く教えてくれ、ついでにマイミクにもなってもらって、いそいそと図書館から借りたら…
ちょっと何これ!すっごい面白いじゃないの!!!
恥(?)をしのんで聞いてよかった!!!
それくらいのヒットだった。
東京創元社から出ているのもあって、殺人事件があったりと、一応推理小説というジャンル分けされてしまうかもしれないけれども、中身だけで判断するならば、純文学と言ってもいいと思う。
それくらい文章が美しくて、抒情的。
そして内容はというと、簡単に言うと“紫の上を育てる”話。なんだそれって感じだけど、物語はこんな感じ;
古今亭志ん朝 「志ん朝の落語1 男と女」 京須偕充・編 2003年 筑摩書房
「志ん朝の落語」の1がないと思って2から借りたのに、その後図書館のサイトで検索したら何故かあって、慌てて借りた1。
テープおこしなところが慣れてきたのか、すいすい面白く読めた。
全体的には、2巻目の人情話のほうが面白かったが。
今回、ちょっと面白い悪態を見つけたので、2つ書き出してみる;
ああ、嫌な長兵衛づら、ちいちいぱあぱあ数の子野郎 (p228)
親ばかちゃんりんだ。(p278)
どっちもいつか使ってみたい。なんて。
本書に出てきた話のうち、いくつかは聞いたことあるタイトルだった。
というのも、以前やっていた「タイガーアンドドラゴン」というドラマで取り上げられていたのだ。
でも、ほぼ話を覚えていなかったけどね。
ということで本書に収められているお話は;
細野真宏 「「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?~世界一わかりやすい経済の本~」 2009年 扶桑社新書
これまた読書会で教わった“「者うが増えると年金が破綻する」って誰が言った?”。
実はよく行く(といっても二回)読書会では、よく経済の本とか自己啓発本とか紹介される。自分では絶対読まないから丁度いい機会だ、と思いつつ、家に帰るとケロリと忘れ。
でも今回は“年金”ってところにぴーーんと来て、図書館にもあったし借りてみた。
ら
うん 確かに“世界一わかりやすい”って感じだった。
普段こんな本を読まない私だって知ってるよ!というのが大半だったし。
特に驚いたのが
「年金の保険料」について、「銀行預金のように自分の口座に積み立てられている」と思っている人が意外に多いことです。(p136)
というくだり。
嘘でしょ!?じゃあなんで、“少子化だから問題”とか“払い損になる”とかってマスコミが騒いでいると思ってるのかね?と思ってしまった。
というか、年金制度の話って、高校の時に習った気がするし。
などなどと、私にとって目新しいことがなかったのが残念。
あ でも特筆するべきなのは、何歳から受け取るとお得かってところかな。
それは以下の通りだそうな;
<通常は65歳から受け取るのだが、60歳からでも受け取れる>
・60歳から受け取る→月々にもらう年金が減るが、早く死んでも払い損が少ない
⇒75歳で死んだ場合、60歳から受け取るのが一番得!
・65歳以上から受け取る→月々にもらう年金が高い
⇒81歳以上長生きした場合、70歳からもらうのが得!
ちなみに、2007年の日本人の平均寿命は
男性:79.19才
女性:85.99才
う~~ん これは自分の死期を知らない限り、難しい選択ですな。
最後に、本書の構成をもうちょっと触れておくと、タイトルが“年金”となっているが、実際に年金の話になるのは本の半分くらいにいってから。
どちらかというと、“年金”の話というよりも、どうやって情報を処理するのか、ひいては“数学的思考”についての話だった。
なので“年金”というのも、その数学的思考の応用編といった態で紹介されている(気がする)。
この数学的思考もね。
うん。まあ。
正直、散々、論文を書いてきて培ってきたなぁと思った。この本を読んで、特に。
だから、このままこういう考え方で物事をとらえていけばいいのね、という再確認というか、背中を押された感じというか、そういう意味では良かったかも。
辻村深月 「ぼくのメジャースプーン」 2006年 講談社
違うところの読書会で勧められた辻村深月の「ぼくのメジャースプーン」。
こうも続けざまに、しかも違うところで紹介されるってことは、相当人気なのかな、辻村深月さん。
でも確かにこの「ぼくのメジャースプーン」も面白かった!
なんか非常に感動したし。
しょっぱなから「ぼくには、他の人にはない不思議な力があって」(p13)と始まるから、“お 超能力ものか!?”と思ったが、これがただの超能力ではない。
ちなみに講談社Novelsから出てるので、単純な私は、超能力で謎でも解決するのか?と思ったが、それも違う。
簡単にいえば、その“不思議な力”を使っての復讐の話だった。
宇月原晴明 「安徳天皇漂流記」 2006年 中央公論社
遠い昔のFIGAROで紹介されていた「安徳天皇漂流記」。
ある時思い立って借りてみた。
安徳天皇といえば、言わずと知れた「浪の下にも都はありましょうぞ」と慰められ、祖母と一緒に沈んだ、まだ幼き帝。
その時に三種の神器も沈み、その中でも剣は見つかっていない、というのはぼんやりとした知識として持っていた。
だから“漂流記”ってのが面白そうだなと思って、当時FIGAROからメモったのだが。
う~ん 総合していうと、あまり面白くなかったな。期待が大きかったせいもあるかもしれないが。
古今亭志ん朝 「志ん朝の落語2 情はひとの・・・」 京須偕充・編 200年 筑摩書房
久々の「書評家<狐>の読書遺産」より「志ん朝の落語」。
全6巻あるのだが、なぜか図書館には2巻からしかないので、とりあえず2巻より。
落語って一回しか観に行ったことがないのだが、その時は狭い小屋に押し込められて、なにやら息苦しかった印象しかなかった。
何の噺が為されたのかもとんと覚えていないのだが、あまりいい印象ではなかったのは確かで、だからこそこの本を読んで、もう一度観に行ってみたいなと思った。
そもそも落語を本で読むっていうのは変な感じだが、しかもテープからおこしてそのまま文になってるもんだから
えェ、お運びありがたく御礼申し上げます。大分この、押し詰まってくるというような…、もうそこんところまで正月が来ておりますんでね。うぅ、どうぞしとつ、来年もこういうようなところへ、ええ、是非お運びいただきたいと思っております…。(p42)
てな調子で、読みにくいといえば読みにくい。
でもしばらくすると慣れてくるし、お話も面白いしで、短編集を読んでいるような気がしてくるのが不思議。
そして、やっぱり生で聞いてみたいな、と思ってくる。
さて、本書に収録されているのは以下の通り;
住井すゑ 「橋のない川(四)」 昭和56年 新潮社
割とコンスタントに読んでいる「橋のない川」。
早いもので四巻になった。ということは・・・出ている分の半分は超した!
でも正直、四巻はそこまで面白くなかった。
って、こういう話にどこまで物語としての“面白さ”を求めていいのか謎だけれど、明らかに前までのほうが面白かった気がする。
もともと思想が入った本ではあるが、本書はその思想が全面的すぎて、登場人物があまり生きていなかったと思う。
短く言えば、あまりに論文っぽすぎる。
一応孝二達が考えたり、しゃべったりする形で思想が語られてはいるものの、そちらにばかり重点がおいてあって、孝二の生き様の描写が希薄になっている気がした。
もっと孝二や誠太郎の成長(それが思想の成長でもいい)が描かれていたらな、というのが正直な感想だった。
さて、肝心なあらすじはというと;
辻村深月 「冷たい校舎の時は止まる 下」 2007年 講談社
ぶっ続けで読んだ「冷たい校舎の時は止まる」の下巻。
いやぁ~ そうきたか!といった終わり方だった。
私は割りと納得いった。
“読者への挑戦”的なものがはさまれていた時には、「え!?これは推理小説だったの!?」と驚いたし、うーん まぁ 『解答編』も“本格派”好きからしたら、ちゃんと所謂、本格派推理小説の解答のようになっていない気がするけれどもよしとしましょう。
ちなみに自殺者は、「もしかして、この人…?」とちらっと思った人だったよ。負け惜しみでなく。
あと、「この人って犯人じゃないだろうけど、絶対なにかあるよね」と思った人も、ちゃんと何かあった。負け惜しみでなく。
この先は激しくネタばれなので注意;
辻村深月 「冷たい校舎の時は止まる 上」 2007年 講談社
またもや読書会の人に薦められて。
実は辻村深月の作品を偶然、違う時に薦められたのだが、まずは一回目の時に薦められた「冷たい校舎の時は止まる」。
うぐぐぐ…なことに、二回目の時に、「前の読書会で『冷たい校舎の時は止まる』を薦められたんですけど、その時に怖いって聞いたんですが、怖いんですか?」と聞いたら、ちょっとしたネタばれをされてしまった。
ま そんな大したことなかったけど。
そして、それのせいなのかは分からないが、全然怖くなかった。
ざっとしたあらすじは、高校校舎に生徒8人が閉じ込められてしまう、しかもそれは異空間っぽい、という話なのだが、確かに“学校校舎+閉じ込められる”という図式はそのままゾクッとするものだろう。
でもなんでかな。全然怖くなかった。
西加奈子 「きりこについて」 平成21年 角川書店
これまた読書会で紹介された本「きりこについて」。
“ぶす”な女の子が主人公、ということと、猫が出てくる、というところと、あとネタばれ的に猫が語り手ってところに魅かれて借りたのだが。
この最後の部分は、最後に行き着いて“ネタばれやったやないかぁあああ”と気づいたのだが、まぁ分かっててもそれはそれで面白い。
ディズニーアニメでは「美女と野獣」がトップ3に入るくらい好き、ミュージカルでは「オペラ座の怪人」が好き、という私にとっては、“醜い”とされている人が題材ってのは面白そうだなぁと思っていたのだが、こういうアプローチの仕方か!とやっぱり面白かった。
しかも軽いノリで書かれているので、全然しめっぽいところなんてなく、一気に読み終えることができた。
そもそも話の流れを見てみても、全然しめっぽくない。
浅田次郎 「壬生義士伝 下」 2000年 文芸春秋
上が途中で終わっていることもあって、間髪いれずに読んだ「壬生義士伝」の下巻。
今回も涙なしでは読めず。
せっかくの五月晴れがまぶしいゴールデンウィークもしんみりと始まったのだった……
ひたすら幕府の駒となって恨みを被った新撰組と、賊軍という汚名を着せられて御一新後に差別されてきた南部の武士たちの想いのたけが、語り口調という手法によって鮮やかに描かれている。
そしてこれが泣けるんだ!
と大まかな感想はこれまでにして、ざっとしたあらすじはというと。
浅田次郎 「壬生義士伝 上」 2000年 文芸春秋
これまた「読書会」なるものに行って紹介された「壬生義士伝」。
どうにもこうにも、新撰組って読めば興味があるけれども、自分からすすんで手を伸ばさない分野だったりする。
だって哀しいんだもの。
でもこれを勧めていた方がそこらへんの新撰組ものと違って、“幕府/世の中のために戦う”とか“武士の生き様/死に様”について描いているのではなく、自分は死にたくないから戦う、そして妻子を食べさせるために戦う、といった人生を歩んだ新撰組の隊員(っていうのか?)を描いている、と言っていたのを聞いて、面白そうだなぁ~と思って借りたのだった。
折しも大河ドラマは坂本龍馬(観てないけど)。龍馬と相対していた新撰組を読むのもなかなか乙かと
なーんて軽く思って読んでいたら、やばいやばい。
すっかりのめりこんでしまった。決してエンターテイメント的な面白さじゃないけれども、ぐいぐいと引き込まれていく。
やっぱり幕末、新撰組だから人々の無念があちこちで出てきている。
でもだからこその「武士とは何か」、「義とは何か」がよく出ているのだと思った。
と感想はこのくらいにして、中身を語ると
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