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がらくたにっき |

2冊にする必要はなかったんじゃないかという薄さだが、表紙買いしている身としては嬉しいことだ

神永学 「心霊探偵八雲 6 失意の果てに 上・下」 平成22年 角川書店




またもや発売されていそいそ買ってきた「心霊探偵八雲」。
表紙が云々といっていたけれども、これはシリーズを買い始めて、最後まで買わないと気が済まない状態になってきた。
そして買ったBook 1st.では八雲フェアだかなんだかをやってて、鈴木康士氏の絵ハガキが2枚ついてきた。やった

はてさて、いつも半ば斜め読みしている「八雲」ですが、今回は不覚にも涙で枕を濡らしてしまったよ~(寝ながら読んでたから枕ね)


前作をあんまり覚えていないのであれなんだけれど、前作で捕まった赤い目の男(八雲の父親)の手下である七瀬美雪が、監獄にいながら八雲の叔父、一心を殺すと宣言する。
後藤と石井は、一心を護衛することになるのだが、その最中、一心は何者かに刃物で刺されて瀕死の状態になり、その挙句脳死になってしまう。
どう考えても密室の状況下の出来事だった。

絶望する八雲は、魂ここにあらず、という状況になるのだが、上巻の最後で復活する。
(ここからネタばれ含むので注意!)

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またもや絵がぴったり

江國香織 「すきまのおともだち」 2005年 白泉社




そもそも「ホテルカクタス」を読みなおしたのが本書「すきまのおともだち」を勧められた時に、“「ホテルカクタス」みたいで面白い”と言われたからなのだが、さてさて読んでみたら、成程雰囲気的には「ホテルカクタス」に似たお話だった。そして面白かったのもしかり。

ただ「ホテルカクタス」とは違って、どこか寂しさを感じたし、なんだか深く考えれば考えるほど、ちょっと怖い話のような気がした。
私がそんな方向に想像してしまってるからだろうけど。


どんな想像してしまったのかを語る前に、さらりとあらすじを述べると、主人公の「私」は女新聞記者で、ある時取材で見知らぬ街にやってくる。
仕事も終わり、恋人(江國香織が“恋人”と書くと、非常に優しい雰囲気に感じられるのは何故だろう)に葉書きを書いて投函しようと、郵便局を探しつつ街を探索していると、明かに今までいた街とは違う所に出てしまう。

そこで“女の子”に出会い、彼女が一緒に住んでいる“お皿”に車で郵便局に連れて行ってもらう。
郵便局を見てはっきりと、今までいた街と違うと確信した主人公は、途方に暮れてしまう。
そんな主人公を“女の子”と“お皿”はお客様としておもてなししてくれるのだった。


そんな生活に慣れてきたある日、唐突に主人公は元の街に戻る。
戻ってみると1秒も経っていないのだった。

これで終わりかとおもいきや、その恋人と結婚し、しばらくするとまたもやこの世界に飛んで行ってしまった。
そうして何度かその世界にいくことになるのだが、“女の子”は女の子のまま成長しないし、“お皿”は相変わらず動きまわったりしゃべったりする。


なるほど、大人向けの童話といったらそれまだでだし、“女の子”に名前がなく、世間一般的な“女の子”を体現しているものとして描かれているのは、「ホテルカクタス」に通じるものがあるかもしれない。
でも「ホテルカクタス」と違うのは、きゅうりとか帽子とか2のように、無生物ではなく、“女の子”という生物、人間であること。そうなると事情がちょっと違って、なんでこの子が“女の子”として存在しているのか、そもそもこの世界はなんのか、とあれこれ想像してしまう。

女の子は;

「はじめから、ひとりぼっちだったの…(中略)…もちろん、おんなのこっていうものには、みんなパパとママがいるわ。…(中略)…でも、あたしはひとりだったの。この家のなかで、いまとおなじようにね。」(p22)

と言っている。
また女の子と主人公が出逢う少年も;

「俺の憶えている限り、両親はすでにいなくて、アニキだけがいた。おかしいと思うかもしれないけど、アニキの記憶でもおなじなんだ。つまり、アニキが生まれたとき、そこに両親はいなくて、弟の俺だけがいた」(p120)

といっている。
つまり、ここに出てくる子どもたちは、両親もおらず気付いたらここにいて、しかもこの状況が『おかしい』と思ったり、普通は両親がいる、という一般常識を持ち合わせている。

そうなってくると、“女の子”だの、この兄弟だの、ただのメタファーというより何か事情があるような気がしてならなくなってくる。
で、単純な私が想像したのは、“女の子”は死んでしまっているのでは!?ということだった。だから年を取らないんじゃないか?と。

ま 本当にそんなオチだったら、あまりに陳腐だし、そもそもこのお話には、そういう説明が蛇足になるのは分かるけど、あれこれ想像してしまうのだった。
そんな想像を膨らませられてしまう余地のある小説だから、「ホテルカクタス」と比べてちょっと怖いな、と思ってしまった。

Category : 小説:現代
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3はなくて良かったんじゃないかなぁ

村上春樹 「1Q84 BOOK3」 2010年 新潮社




前巻を読んだときは、これで終わりで全然いいと思っていたけれども、出ましたね~ 「1Q84」のBOOK3。
ってこの話題は古いですな。

どうなのどうなの?と読んだ人に聞きまくると、「BOOK2までのおさらいって感じ」といわれたので、微妙な気持ちでBOOK2まで貸してくれた同僚にせびると、なんと彼はBOOK3を買うつもりはないというではないですか!しかも自分は違う人に借りてちゃっかり読んでるみたいだし!

そんなわけで読むことはないかな~と思っていたのだが、妹が友達からBOOK1から借り出して、じゃあ3をこっそりまた貸ししてくれ、と頼んだら、流してくれた。やった

読んでみて、確かに“BOOK2までのおさらい”というのが言いえて妙だった、というのが感想。
それから、結局、天吾と青豆のラブストーリーで話がまとまるのか!とつっこみを入れたくなってしまった。
私が期待していた、村上春樹ワールドへぐるぐる~というのはあまりなく、むしろBOOK1・2よりもずっと読みやすかった。

Category : 小説:現代
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ひたすら建物の絵というのがまたいい

江國香織 「ホテルカクタス」 2001年 ビリケン出版




この間友達に会った時に、面白かった本を言い合っていたら「江國香織の『すきまのおともだちたち』が『ホテルカクタス』っぽくて面白かったよ~」と言われたので、「『ホテルカクタス』って面白いの?」と聞いたら、「絶対読んだことあるよ!面白かったって言ってたもん!」と強く言われてしまった。
そして軽くあらすじを言われたけど、まったく覚えていない。

さっそく「ホテルカクタス」と「すきまのおともだちたち」を図書館から借りてきて「ホテル~」から呼んでみたら。
うん、読んだことあったわ。
最初の一文ですぐ思い出した。

未来の私のために、もう一度図書館に行って借りなくてよいようにさらりと説明すると、ホテルカクタスはアパートの名前。
そこに帽子ときゅうりと数字の2が住んでいて、彼らはお友達。
そして注意しなくてはならないのは、これは彼らのあだ名ではなくて、本当に“帽子”と“きゅうり”と“2”だということ。

話自体は何か劇的なことがあるわけではなく、この3人(といっていいものなのか…)の交友関係が淡々と「です・ます」調で、おとぎ話のように綴られているだけ。
一応、この“一緒に住むもの”の定石にしたがって、最後にはばらばらになってしまう。

ついでにこの3人の人物像に触れると、帽子はニヒルなハードボイルド的な人で、本を沢山持っていて、亀を飼っている。きゅうりは田舎から出てきた青年で、常に体を鍛えていて、ガソリンスタンドで働いている。2は14の父親と7の母親から生まれ、なにせ2だから割り切れないことは嫌い、そして役所に勤めている。

何気にこの数字の2が好きで、特に;

 その晩、自分の部屋に戻ってベッドに横になった数字の2が、ひさしぶりにやすらかで幸福な気持ちだったことは、言うまでもありません。気に入りの、水色の毛布にくるまって、のびのび―まるで、数字の1のような恰好になって―眠りに落ちました。(p26)

というくだりが好き。


気づいたら江國香織作品は随分久しぶりで(何せこのブログに出てきていないんじゃないかなぁ)、無菌無毒な感じが、久しぶりだと新鮮な気がした。
特に童話調だから、休みの日にごろごろしながら読むのに丁度よかった。

Category : 小説:現代
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ちょっと外に持ち歩きにくい表紙絵だった

姫野カオルコ 「リアル・シンデレラ」 2010年 光文社




続けて読み終わった直木賞候補作品の「リアル・シンデレラ」。
なにせ後がつかえてるから、さっさと読んでまわさないとかわいそうだからね。

ガーファンクルの“Mary was an only child”が最初と最後に引用されているが、それを下敷きにしたかのような作品だった。
そして何よりも面白かった!何せ平日なのに2日で読み終わってしまった。

主人公の泉(せん)は本当にピュアな人として描かれているのだが、これって相当難しいのではないかと思う。
だってこれだけピュアな人って、他の人には理解しずらいから、偽善的にうつったりうそ臭くみえたりしてしまう。でも本書はそこがうまく描けていて、リアリティがある上に、泉が嫌な奴にうつらない。
多分、“聞き語りをまとめた記事”という特殊な手法を使ったからのような気がするが、それにしてもその筆力に脱帽である。

さてあらすじはというと;

Category : 小説:現代
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とりあえずぬいが最終巻まで生きていたのでホッ

住井すゑ 「橋のない川(七)」 平成6年 新潮社




ついに終わってしまった「橋のない川」。

正直シリーズの後半はいわゆる“小説”ではない気がしないでもなかったけれども、終わってしまうと寂しい。
何よりも七巻が終わったときには住井すゑさんは、まだまだ書くつもりでいたのがもっと惜しい。
というのは、非常に面白くなりそうなところで終わっているからだ。

本書もひたすら水平社の運動について描かれている。
それと同時に主となっているのが、難波大介の皇太子暗殺未遂の罪状で死刑となっていくのを通して、新聞(マスコミ、世間)が真実を語らない、というテーマ。

孝二のキャラが薄くなってしまったり(というか孝二があまりにできすぎ)、秀坊があまりに神がかりすぎていたり、善と悪があまりに明確すぎる(所謂部落や農家の人が善、政府や金持ちは悪という図式があまりにくっきりしすぎ)など、それはどうなの?と思わざるをえないところもあるが、久しぶりに面白いと思えた巻だった。
それは水平社ができたことによっての人々の変化が顕著になってきたから、というのと、時代も大正が終わり昭和に入ったからかもしれない。さて第二次世界大戦はどうなる?という期待を持たせて終わってしまって、本当に残念だった。

朝鮮人で、しかも朝鮮のエタにあたる『白丁(びゃくちょう)』である朴さんが

世の中のどこがどう間違うてるかということは、世の中で一番どん底で苦しんだ者でないと、わからぬのとちがいまっしゃろか。そうかて“ど突かれて痛かろう。”と周囲から想うのと、“ど突かれて痛い。”とわが肉(み)で感じるのとではわけがちがいますもんなア。(p102)

という言葉は、それこそ耳に“痛い”けれども、「橋のない川」を読むことで、誠太郎や孝二を身近に感じるという体験を通して、ちょっとは“わが肉で感じ”られた気がする。
そういう意味で、「橋のない川」を読んだことは自分にとって大きな遺産になったと思う。


とここまで書いてから気づいたが、私、六巻読んでません!!!!
ぎゃああああああああ

五巻の感想を読んだら、“残り1巻!”と言っていて、でも今このレビューを書いているのは七巻。
はて六巻は・・・?と調べてみたら。。。

とほほ。
道理で七重がいつのまにか結婚してたはずだよ。
ま、でも「橋のない川」ってこれまでも“いつのまにか”が多かったからさ。

言い訳しつつも何気にショック。
なんだか感傷的に書いたレビューも今となっては笑い種だけど、それが本書を読み終わった時の正直な感想なんだし、せっかくなのでこのままにします・・・

Category : 小説:歴史
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受賞作という事実が見事に邪魔したな

中島京子 「小さいおうち」 2010年 文芸春秋




直木賞受賞作品が割りと早く手に届いたのは、やはり候補発表と同時くらいに予約入れたからか。
とにかく、一足先に「あの日にかえりたい」が来て、次には本書「小さいおうち」と「リアル・シンデレラ」が同時に届いた。わ~い
ちょっと悩んで、受賞作品の「小さいおうち」を先に読むことにした。

好みの問題だと重々承知だが、その上であえて言わせていただくと。
“「あの日にかえりたい」の方が面白かったなぁああああ~”

(この先の感想はネタバレ含むので注意!)

Category : 小説:近代
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“Effendi”が名前じゃないと気づくのに時間がかかってしまった(不覚!)

Orhan Pamuk, "MY NAME IS RED", 2001, Faber and Faber Limited




随分昔のFIGAROで紹介されていた、邦題「私の名は『紅』」。
舞台は訪れたことのあるイスタンブールだし、題材はイスラムの細密画家だし、で大変興味があったのだが、どうせなら英語で読もうと思って月日が経ち。やっと高島屋での洋書セールで見つけて買ってもまた月日が経ち。
やっと手にとって読んでみたら、ものすごく字が小さくてまたまた月日が経ち。
で、一体いつからこの本に関わっていたのかが分からないくらいになってしまった。

はてさて肝心な感想はというと、今までにない形式の推理小説(一応)で非常に面白かった。
こんな書き方もあるのね!という新鮮さ。
それと同時に、自分の頭が固いせいもあるだろうけれど、その斬新さについていけない部分があったりもしたのも事実。

何が面白いかと言うと、各章ごとに違った人物が語り始めるのだが、その章のタイトルが"I AM YOUR BELOVED UNCLE"だったり"I AM CALLED BLACK"だったりと、その語る人物が名乗るような形になっている。
そしてこの語る人物が何も“人”物だけではなく、"I AM A TREE"だとか"I, SATAN"とかある。
なにせトップバッターは"I AM A CORPSE"、つまり殺された死体から始まるのだ。
もちろん死体がいるからには"I WILL BE CALLED A MURDERER"もいる。

そしてこの“語り”の使い方が独特で面白い。

まず、語り手はきちんと読者に語っているのだ。
そして犯人もそれを意識していて

Actually, I know that you're listening to me even when I'm mulling over matters in private. I can't afford careless contemplation of my frustrations or the incriminating details of my life. (p119)

と言うように、決して悟られないような語り方をしている。
一応明確な犯人候補が3人いるのだが、その3人が出てくる他の語り手によるエピソードの続きとして、この犯人が語ることになっても、絶対分からないようになっているから天晴れだ。

登場人物が沢山いる、というか語り手が多すぎてまとまりにくい物語であるが、ざっとあらすじを書くとこんな感じ;

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“ザ・ヒヌマ・マーダー”じゃなくて“ザ・ヒヌマズ・マーダー”じゃないのかなぁ

中井英夫 「虚無への供物」 昭和49年 講談社




中高時代に一番はまったのが推理小説で、しかも「本格」と呼ばれる島田荘司から始まり、綾辻行人やら有栖川有栖やら法月綸太郎やらにはまっていたのだが(こう羅列すると関西系の人が多いな)、中でも有栖川有栖の江神さんシリーズが好きだった。
その江神さんと主人公アリスが出会ったシーンで、江神さんが持っていた本こそが「虚無への供物」。
しかもそれをきっかけに、アリスが親近感がわいて江神さん所属のサークルに入るもんだから、気になってしかたなかった。

だからもちろん高校の時に読んだのだが。
正直、高校生の時は何が面白いのかちっとも分からず、あまりインパクトもなく(あえて言うなら、なんでこれが絶賛されるのだろうというインパクト)終わってしまったのだが、社会人になって三浦しをんのエッセイだかを読んでる時にも「虚無への供物」が出てきて絶賛している。

あれから月日が経ったのだから、私の見解も変わっているだろう。面白みが分かるだろう。
そう思って、古本屋の百円コーナーに置かれてるのを買ってみて読んだのだが。

だが。

やっぱり面白いと思わなかったな・・・


なんというか。

まず主人公格の久生という女性が非常に気に入らない。
もう口ぶりからしてダメ。
「いきなりこんなことをいっても、アリョーシャには難しすぎたわね」だとか、アリョーシャこと亜利夫がちょっと意見しようとすると「いいから黙って」とぴしゃり。何様のつもり!?って感じ出し、そもそも久生より亜利夫の方が真相に近かったし。
同性のせいか、余計久生がいやでイヤでしょうがなくなるのだった(ちなみに三島由紀夫は好きらしい)。

そして第二に、登場人物たちがすぐ推理ごっこをするのは辟易だった。
近親者が死んだというのに、その死をめぐっての推理ごっこというのは非常にいただけない。
そこが推理小説の難しいところなのかもしれないが、私が接してきた推理小説はその配慮が割りとなされていたと思う。
例えば、死者と関係者とはつながりのない第三者である探偵が推理したり、関係者でも“やむなく”推理をせざるを得なかったり、江神さんのように殺人が起きる群集の中で、疑心暗鬼になるのから逃れるために犯人を告発したり。

それが本書には一切なく、“ザ・ヒヌマ・マーダー”なんていっちゃって、まるでエンターテイメント。
特に久生がきゃっきゃと身を乗り出してるから余計にイヤになる。

推理小説が好きだけれども、ある程度のリアリティを求める私にとってはそこまで面白いと思わなかった。


とはいっても、江神さんに本を持たせるくらい有栖川有栖が好きだったのは分かる気がする。
これは本当の推理オタクにとっては非常に面白い本の構成だと思うのだ。
一つの事件があったら、何人もの登場人物がそれぞれの推理を披露する。しかもそれぞれ密室で、有名な推理小説を引き合いに出しつつ論じたりするものだから、そりゃあ推理好きにとっては、登場人物と一緒に推理する気持ちで楽しいと思う。
そしてそれが悲劇の核となっていた、ということがうまくできたカラクリだと思う。


それにしても、全然話を覚えていないかと思いきや、読んでみたらあらすじもおぼろげに覚えていたし、犯人ももちろん覚えていた。我ながら天晴れ。

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動物園のモデルは旭川動物園?

乾ルカ 「あの日にかえりたい」 2010年 実業之日本社




第143回直木賞の候補作品があがった時に、「候補作品を読んで、受賞する作品を予想してみようかな」と安易に考えて図書館で予約をしてみたのだが。。。
そう思った人が多いのかなんなのか、てかそもそも人気作品だったからか、やっと1冊めぐった時にはとっくの昔に結果が出ていることに。

まぁいいか、ということで、残念ながら受賞を逃してしまった「あの日にかえりたい」を読んだ。

予想外に短編集だったのだが、選ばれるだけあってぐいぐい読めた。
正直、表題作の「あの日にかえりたい」は他の作品に比べて面白いと思わなかったけれども、短編すべてが過去と未来、もしくは生と死が交差する話だった。
それが色々な形で交差していて、単純によくこれだけ思いついたなと感心もしてしまった。

初めて読んだ作家さんだが、著者紹介をみてみると短編が多いらしく、なるほどなと思うくらいの短編ならではのよさが出た作品集だった。

収録されている作品は以下の通り(ネタばれあり);

Category : 小説:短編集
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脳内クリは、何故か水木しげる氏の絵のイメージ

香月日輪 「妖怪アパートの幽雅な日常④」 2005年 講談社




なんかもういいやと言っていたのにも関わらず、ちょっと続きが気になっていたのもあって、図書館で時間を潰さなくてはいけなくなったときに手にとってみた。
それでもって児童書だから一気読み。

夕士は夏休みを迎えており、びっみょう~に今とは時期がずれた感じだけど、まぁそんな気にならない。
というか本当に“日常”話なので、あまりとりたてた事件はないのだが。

またもや修行に明け暮れることになり、しかもそれもレベルアップ。最初はきつかったけれども、なんとか乗り越えることができた。

その後にはバイト三昧。そこはずっと夕士が働いているところなのだが、今回行ってみたら、夏の間だけ雇った大学生バイトと、正社員のおっちゃんらと険悪な雰囲気。
この大学生が、いわゆる“いまどきの若者”(悪い意味で)で、しきりにおっちゃんらから反感をかっているのだ。
5人いたうち3人さっさと辞めてしまって、2人は残っているのだが無表情な二人。
夕士が仲立ちをするようになって、ある事件などがあってから二人は一気に成長するという流れ。

あとはバイト中に飛び降り自殺しそうになっている女の子を発見し、それを止める夕士。
そいつはなんと小学生で、それだけど非常に生意気でちゃらちゃらしてて、全然子供っぽくない。
この子も夕士の仲間に引き合わせることによって、本来の“子供らしさ”を取り戻す。


ん~~~児童書って分かってるけどさーーー こうもいい子だとなんだかなぁ。
てか夕士が正論はきすぎて、いい子すぎてどうにもこうにも。

しかも、悪い子=このイメージっていうのが、バーンと出すぎていて、いやまぁそれは本当にイヤな子・イヤな傾向ですよね、教育が悪いですよね、って思うけどさ。あまりにあからさますぎやしないか。
こうも悪い子の型を定義されていると気持ちが萎える。というのは私が天邪鬼だからか!?


と言いつつ、また続きが読みたくなりそう。
ってこんなに文句を言うなら読むなよ!って感じだけど、さらっと読めるし、“日常”の部分は面白いし(特にクリと長谷のからみ)、るり子さんの料理のシーンは好きだしな。(なら文句を言うなという話もあるな)

Category : 児童書
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里瀬シリーズ、また読み返したくなった

恩田陸 「朝日のようにさわやかに」 平成22年 新潮社




随分久しぶりの恩田陸は短編集だった。

妹が入院した際に買ったらしく、貸してくれた。
時々いまいちな物もあったけど概ね面白かった。

思うに、恩田陸は始めは面白いのに、エンディングがその面白さに見合わないというのが多いから、短編は面白いはずでは?でもあとがきによると、短編は苦手らしい。そうなると、いつも終わらせ方を考えあぐねている内に長くなっちゃう口なんじゃないか?だから、エンディングが残念な感じになるんじゃないか?と邪推してしまう。

それはさておき、収録されている作品は次の通り;

Category : 小説:短編集
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