世阿弥 「風姿花伝・三道 現代語訳付き」竹本幹夫=訳注 平成21年 角川学芸出版
読書会のテーマ本が「風姿花伝」と聞いて、前々から読んでみたいと思ってたし、といそいそエントリーしたものの、まぁ読みずらい本だった。
非常~に苦労しましたとも。
古典だから、というよりも、自分が期待していた内容と全く違ったというのがある。
能の指南書として名高い「風姿花伝」だが、能だけではなく人生の道標としても読むべき、と聞いていたので、生きる上での心得のようなものが書いてあるのかと思いきや、現代の言うところのHow-to本に近い気がした。
やっぱり昔読んだことがる妹と、“今で言うと新書だよね~”と言いあったのだが、まさにそんな感じ。
そんな風に頑張って読んだのに、結局読書会には行けず、至極残念だった…
とりあえず気になった文を列挙する;
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綿矢りさ 「夢を与える」 2007年 河出書房新社
本書「夢を与える」も読書会で紹介された本
「インストール」は読んだ記憶がないけれども「蹴りたい背中」は読んだ。でもあまり印象に残らなかったので、再チャレンジのつもりで綿矢りさ作品を手に取ってみた。
うーん…よく書けているが、というかよく書けているためだろうけど、最初から最後までイタい作品だった。。。
まず主人公の母親がイタくてしょうがない。
恋人と別れたくなくて子どもをこさえてしまう(その子どもが主人公)。しかもその恋人ってのが、普通の日本人(という言い草もなんだけど)ならまだしも、フランス人のハーフとかって…。なんかイタすぎないか、必死さがにじんでるようで。
当たり前のことながら結婚した後も仲が冷めて行く。
それを埋めるかのように、娘の芸能生活に生活を捧げるのがまたイタい。
とにかくこの母親がイタ過ぎて、主人公がかすんでしまった。
森谷明子 「白の祝宴 逸文紫式部日記」 2011年 東京創元社
すっかり読む順番を間違えてしまったので、「望月のあと」で『誰だこれ?』と思ってた人が出て来た。しかも割と重要な役で。『あれ?この人が出てくるってことは、あの人はどこにいるの?』と思ってしまったもんだから、ちょっとネタばれになってしまった。残念。
今回は「源氏物語」はあまり出てこない。
「紫式部日記」がメインとなっているのだが、あとがきを読んで知ったのだが「紫式部日記」はなかなかつまらないようだ。しかも複数の人が書いたようであったり、“紫式部”日記といっても中宮彰子の出産日記であったりと、つまり本書は“紫式部日記とはなんなんだ?”という謎(作者が感じた疑問なのかもしれないが)を解いたもののようだ。
設定としては、宮仕えを辞めていた紫式部(ここでは香子)は、中宮彰子の出産に際して召し抱えられ、その役割とは出産の様子を書いた女房たちの日記を編纂するということ…というもの。
「蜻蛉日記」も出た後だし
誰にも読ませるためでもない。こうして毎日、つまらない雑事に追われながら――誰もがばかにしきっているくせに、それなくしてはたちまち困る衣食の世話だの、何もしなくても汚れていく子どもの体をきれいに健やかに保つことだの――砂の塔を作るように水に文字を書くように、努力するはじからあとかたもなく消えていく仕事だけに追われて一生を終わる自分の、せめてもの痕跡をこの世にとどめておきたいから。(p112)
という動機づけも無理はないかな。
また、つまらない作品が後世に残った理由として、この後京を襲う戦火・天災において、華やかな生活を送る先祖の姿が慰めだった…というのも“成程な”と思った。この世にとどめておきたい、という女房の願望と、それによって救われた子孫によって存続していた。「紫式部日記」の存在意義がきちんと描かれている。
推理小説なので一応、事件は起きる。
中宮彰子出産の日に、隆家権中納言の家に盗賊が入る。そしてその内の一人は傷つきながら、どうやら道長邸(つまりは中宮彰子が出産された場所)に逃げ込んだらしい。
ところが、道長邸は出産のために皆白装束だし、邸自体も真っ白になっている。そこに血で汚れた賊が入れば見つかるはずなのにまったく分からず…という話。
(この下ネタばれ)
田辺聖子 「新源氏物語(上)」 昭和59年 新潮社
読書会で非常~に読みやすい源氏物語、という紹介を受けた田辺聖子さんの「新源氏物語」。
田辺聖子といえば、百人一首にはまったのも彼女の作品からだし、「むかし・あけぼの」も面白かったし、じゃあ読んでみよう!ということで借りてみた。
確かに読みやすい!
が、光源氏にムカついて仕方がない!!!!!!!!
田辺聖子さんの責任ではまっっったくないんですがね…
なんで何百年も人気なのかがよく分らん…
確かに描写は非常に素敵。出来事や景色、シーンの描写も大和絵を見ている感じがする。
が、しかし…源氏ってあまりにひどくないか!?
紫の上のことを非常に愛してるって言ったって、藤壺の代わりでしょう?
その時代の風潮と分かっていても、源氏が女を見下している気がしてならない。それを女性である紫式部が書いたってのが、男の視点で書いたという点で評価されるのも分かる気もするが。。。
ま、なんというか読んでて決して楽しいものではないな。
上巻の途中から政治的な動きが出てくるのはちょっと面白かったけど。
亀山郁夫 「磔のロシア スターリンと芸術家たち」 2010年 岩波書店
やっと本命の「磔のロシア」。
前作の「終末と革命のロシア・ルネサンス」を読んでいたから、そこに出てきた芸術家…という認識はあっても、実際によく知っているのは(と言っても1冊しか読んでないけど)ブルガーコフのみであった。
でも「終末と革命のロシア・ルネサンス」よりも読みやすかったし興味深かった。
そして何よりももっとロシアのことが知りたくなった。
本書のキーワードは“二枚舌”。
スターリンよりの作品を作ったと言われている芸術家たち一人ずつに焦点をあて、スターリン礼賛作品の裏側にある彼らの本意を探る、というのがメインテーマになっている。
つまり、スターリンからの迫害を避けるために芸術家たちが用いた“二枚舌”がテーマというわけだ。
何気に興味深かったのが、スターリンがお気に召さなかったら処刑されてしまうかもしれない、という不条理な状況下であったも、芸術家たちは直訴を行っているところ。
例えば北朝鮮で直訴なぞしようものなら即死刑になりそうなイメージがあるが、ソ連ではそうではなかったようで、直訴状を受け取ったスターリンから電話がかかってきたりしたようだ。やはり同じ共産主義国でも西洋と東洋では様相が違うものなのだろうか?とチラリと思ってしまった。
何はともあれ、私にとって難しいところが多かったので、理解は浅いがまとめると;