円居挽 「丸田町ルヴォワール」 2009年 講談社
読書会で紹介してもらった「丸田町ルヴォワール」。
久しぶりの推理小説。
そして文章といい、京大出身がぷんぷんとにおう作品だった。
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「世界の文学セレクション36 17 フロベール」 山田欝/山田稔・訳 1994年 中央公論社
ナボコフの文学講義が、その本を読まないとまったく分からない書き方になっていたので、とりあえず「ボヴァリー夫人」を読んでみようと思って手に取った本書。
結局最後まで読み切らずに、ナボコフを読むはめになって、あっさりと結末を言われた…
まぁいいけどね。
本書は3作入っていた;
「ボヴァリー夫人」
いわゆる不倫小説。
話の流れがほぼ「アンナ・カレーリナ」に似ているが、こうも趣が違うのかとびっくりするくらい違う。
ボヴァリー夫人はとにかく俗物的。いくら美人の設定でも醜悪に感じる。
話は突然ボヴァリー氏の子どもの頃の話から始まるので少々面食らった。
非常にダサい少年がなんとか医師になることができ、まずは後家を嫁にもらう(完全にお金目当てだが、結局なかった)。
診療先に非常に美しい娘さんがいて、ちょっとボヴァリー氏の心がときめていたら、それに気付いた妻は結局死んでしまう。
妻の死後、その娘さんをお嫁にもらうのだった。
それがタイトルになっている「ボヴァリー夫人」。
凡庸の旦那に嫌気がさして、2人の男を渡り歩く。
しかも田舎にいときながら、パリの社交界への憧れがはんぱなくて、商人に言われるがままにバンバン物を買う。
最終的には借金まみれでどうしようもなくなって、それでも旦那には言えずに、最後は青酸カリを飲んで死んでしまう。
「三つの物語」
タイトル通り、お話が3つある。どれも宗教色が強い。
まずは「素朴の女」。教養はないが気だてのいいメイドの半生。
彼女のキリスト教がリアル。
二つ目が「聖ジュリヤン伝」。もっと宗教色が濃くなる。
しかしなぜこのジュリヤンが聖人になったのかよく分からなった。
結局、自分の両親まで殺しているのに(事故といえども)…
最後は「ヘロデヤ」。タイトル通り、いわゆるヘロデ王の話。
洗礼者ヨハネの扱いに困っていて、最後にサロメが首を所望してゲットする話。
「紋切型辞書 抄」
これが結構面白かった。本当に辞書なんだけれども、そこに書いてある内容がおかしい。
例えば“アキレウス”のところには“「駿足の」と形容すべし。ホメロスを読んだふりができる(p489)”とあるしまつ。“抄”とあるからには、ちゃんとフルにもあるのだろうか?
ちょっと読んでみたい。
ダンテ 「神曲 地獄編」 平川祐弘・訳 2008年 河出書房新社
読書会の課題本「神曲 地獄編」。
どんなものなのか、非常に構えていたが、訳がいいのか大変読みやすかった。
皆も同じような感想なのか、最終的にはダンテ君呼ばわり。楽しい読書会だった。
以下レジュメ↓
ウラジーミル・ナボコフ 「ナボコフの文学講義 下」 野島秀勝・訳 2013年 河出書房新社
読書会課題本の下巻。
ただでさえ読みにくいのに上下巻ってのがしんどかった。
そして読書会に行ってみれば、完読したのは主催者さんと私しかいなかった…
と言っても私も、最後の方は斜め読みだったけど。
この巻で唯一印象的だったのは
近代文学で最初に同性愛者が描かれたのは、『アンナ・カレーニン』の第二部第十九章で、ヴロンスキーが連隊の食堂で朝食をとっているところである。二人の士官が簡単ながら生き生きと描写されている―――この描写には、二人の士官の関係についてなんの疑問の余地もない(p104-5)
ええええ!!!???全然何も感じなかったけど、“疑問の余地もない”って!!!とただびっくりした。
この巻に収録されているのは;
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 『ジギル博士とハイド氏の不思議な事件』
マルセル・プルースト 『スワン家のほうへ』
フランツ・カフカ 『変身』
ジェイムズ・ジョイス 『ユリシーズ』
ウラジーミル・ナボコフ 「ナボコフの文学講義」 野島秀勝・訳 2013年 河出書房新社
読書会の課題本。
正直読むのがしんどかったー!!!
ナボコフ先生、これじゃ生徒寝ますぜ…
紹介している作品をほぼ読んだことないってのが、つまらなかった起因の一つであろうが…
まず最初の「良き読者と良き作家」の項でうへ~となった。
これが読者がなしうる最悪のことだが、作品中のある人物と一体になったような気持になること。このような低い想像力は、わたしが読者に使ってもらいたくないものである。(p59)
まさに最低な想像力を使っていますよ!それが読書の醍醐味と思っておりますよ!
とりあえずここに収録されているのは;
ジェイン・オースティン 『マンスフィールド荘園』
チャールズ・ディケンズ 『荒涼館』
ギュスターヴ・フロベール 『ボヴァリー夫人』
小倉貞男 「物語 ヴェトナムの歴史」 1997年 中央公論社
読書会の課題本「物語 ヴェトナムの歴史」。
あと1章で読み終わるというところで出張が入ってしまったと言う哀しい結果に…
まぁ、ヴェトナムのことなんてヴェトナム戦争(それもあまりよく分っていない)と、子どもの頃に「ベトナムのダーちゃん」という印象しかなかったので、よりよく知るいいきっかけにはなったけれども。
他の東南アジアでもよくあるが、あちこちに征服されるのだが、それでも必死で抵抗するヴェトナム人に感服した。
中国の統治がひどく、抵抗活動を続けて独立を勝ち取ったり、フランス統治下でも必死の抵抗があったとのこと。
フランス統治時代に逮捕された反乱軍の一人が尋問されて「フランスへお帰り。そしてジャンヌダルクの銅像を引き倒してごらんなさい。そうしたら話しましょう」(p316)と言ったというエピソードが印象的だった。
また仏教が中国から来たのでは、インドから直接来たのも初めて知った。
道教とものすごいミックスした、というくだりより、他の国の仏教と様相が違うのではないかと想像が膨らんだ。
文字も漢字が伝わってきたのだが、ヴェトナム独特の漢字を作った(国字のようなものか)というも興味深かった。
が、その後のフランス人の統治でアルファベットにしろ、となって、文字を変えなくてはいけなかったというのは、ある意味アイデンティティに繋がる部分もあると思うので残酷だと思った。
現代の記述が少ないのが残念だったが、ヴェトナムのことを知るいいきっかけになった。
菅原一剛 「写真がもっと好きになる。」 2008年 ソフトバンククリエイティブ
読書会で紹介された「写真がもっと好きになる。」。
あまり写真に興味がなかったけれども、この本を読んでる時は写真を取りに行きたくなった。できたら一眼レフとかで!
気持ちをこめてシャッターを押そう、とか光を意識してとろう、とか、ちょっとしたアドバイスが入っている。
時々テクニックなところの説明が書いてあるけれども、ほとんどが精神論とか、写真を撮る時のちょっとしたアイディア(写真を繋げていくとか)が入っている。
挿入されている写真も非常に素敵で、一冊買って手元に置いておいていいかなぁと思った本だった。
スティーヴン・ミルハウザー 「イン・ザ・ペニー・アーケード」 柴田元幸・訳 1998年 白水社
読書友達に借りた初ミルハウザー。
短編で何作入っているのだが、「アウグスト・エッシェンブルク」以外はあまりぴんとこなかった。
が、この「アウグスト・エッシェンブルク」が素晴らしすぎて全然気にならなった。
「アウグスト・エッシェンブルク」に出会えただけでこの本を読んだ価値があると思った。
収録されている作品は以下の通り;