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がらくたにっき |

「時計仕掛けのオレンジ」を読んでみたくなった

三上延 「ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~」 2011年 アスキー・メディアワークス




忘れた頃に予約が回って来たビブリア古書堂の2巻。
相変わらず自分にとってはツボではないが、1巻よりは面白かったと思う。
続きがちょっと気になった。

収録作品は次の通り;

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表紙の絵がまったくもって自分の想像と違う

森福都 「狐弟子」 2005年 実業之日本社




図書館でめぼしい本がないかうろついている時に、同じ作家の「琥珀枕」とか面白かったと記憶していたので借りてきた「狐弟子」。
さらりと読めて、可もなく不可もなくの読了感。中国の歴史物で、ちょっとした不思議があって、短編集だから読みやすい。
だからといってものすごく面白いわけでもなければ、つまらないものでもない、というステータス。
本書の中で一番面白かったのは表題にもなっている「狐弟子」。
「琥珀枕」も不思議な師匠と弟子の話で、とても面白かったと記憶しているので、やっぱりこの手の話が上手いのかもしれない。

収録されている作品は次の通り;

Category : 小説:歴史
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小林がそんな嫌な人じゃなくなっていた

水村美苗 「続 明暗」 平成2年 筑摩書房
下線文

読書会の課題本より。
「明暗」を読んですぐ読み始めたら、本当に途切れたところから始まっていた。
間違えて「明暗」読まずに読んだら、なんのこっちゃ分からない作りになっている。

私が読んだ「明暗」は漢字も現代の漢字になっているし、その他も現代風に改められていたので大変読みやすかったのだが、この「続 明暗」はむしろ旧字体になっているので非常に読みにくかった。
こちらが正しいんだろうけれども、なんか気持が持続しにくかった。

かといって随所に現代っぽい物言いがあった気がした(あらさがしの目で見ているからかもしれないが)。
一点気になったのが、漱石は“馬鹿”を使っているのに対して、こちらは“阿呆”と言っているところ。語気を荒らげたと捉えたらいいのかもしれないが…

肝心の中身も、ちょっと違うかな…という感じがしないこともない。
お延がちょっと弱すぎる。もっと勝気のイメージなんだけどな…岡本とのやりとりからしても。

あと漱石版ではしつこくあった心情描写が非常に少ない。
その点は読みやすいといえば読みやすいのだが、“続”にするならばここまで踏襲してほしかったな、と。
かなり上から目線ではあるけれども、でも漱石に続編を書くというチャレンジ精神は敬服に値する。

とりあえず水村さんが考えた続きは;

Category : 小説:歴史
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着物の描写が好き

夏目漱石 「明暗」 昭和62年 新潮社




読書会の課題本として「明暗」と「続・明暗」があげられ、夏目漱石をあんまり読んだことがない身としては、良い機会かと思って参加することにした。

「明暗」は未完で終わった絶筆。
実は夏目漱石って「こころ」「坊っちゃん」「夢十夜」くらいしか読んだことがなかったので、よく考えたら長編は初めて(「吾輩は猫である」は何度も挫折した)。
読んでみての感想は、結構読むのがしんどかったな…というものだった。
登場人物の心情や状態の描写が丹念過ぎてなかなか前に進まない。
例えば二人のやり取りがあると、やり取りの言葉と言葉の間の説明が非常に丁寧。

「一体どうしたら可いんでしょう」
 お秀の言葉は不謹慎な兄を困らせる意味にも取れるし、又自分の当惑を洩らす表現にもなった。…(中略;ここにお秀の事情の説明)…
「そりゃ良人だった兄さんに頼まれて、口は利いたようなものの、其所まで責任を有つ積でもなかったんでしょうからね。…(中略)…」
 津田は少くとも表面上妹の立場を認めるより外に道はなかった。然し腹の中では彼女に対して気の毒という料簡が何処にも起らないので、彼の態度は自然お秀に反響して来た。彼女は自分の前に甚だ横着な兄を見た。その兄は自分の便利よりも外に殆んど何にも考えていなかった。もし考えているとすれば新らしく貰った細君の事だけであった。(この後、次の会話まで8行ほど、二人の気持のやり取りが描かれる)(p307)

そこが魅力なのかもしれないが、とりあえず読みづらかった。
しかも、その心情というのが人間のどろどろしたところだったので、読み苦しいのみ相まってページがなかなか進まなかった。

Category : 小説:近代
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各章のタイトルが凝っていて目次が面白いことになっている

沢村凛 「瞳の中の大河」 2003年 新潮社




以前勧められたまま、気になっていたものの手にとっていなかった「瞳の中の大河」。
本屋さんで「黄金の王 白銀の王」という本を見つけ、面白そうなファンタジーだなと思っていたら、なんとなく見憶えのある作者。
「瞳の中の大河」の人か!と思い、まずは「瞳の中の大河」を読んでみることにした。

正直、文章が馴染めなく、そうなると世界観が掴みにくくてファンタジーは読み解くのが非常に困難となる。
なので結構放置時間も長くなってしまって、読み終わるのに大変な時間を要した。
が、最後は止まらなくなるくらい面白かった。

とりあえず国の変革の話なので読んでいて気持ちいい。
最後は割とご都合主義な感じがして、終わり方は私としてはすっきりしなかったが、なかなか面白かったと思う。

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唇を噛んで血をにじませて、唇を赤くしているのにはびっくりした

Tracy Chevalier "Girl with a Pearl Earring" 1999, HarperCollins




ずっと読んでみたかった“Girl with a Pearl Earring”を友人に借りて、割と長い時間をかけてやっと読み終えた。
読みやすかったけれども、作品自体はそこまで感動しなかった。
「スーパープレゼンテーション」でシバリエのプレゼンを見て、非常に期待をしていたのがいけないのかもしれないが…

映画にもなったこの物語は、フェルメールの“Girl with a Pearl Earring”の絵についての話。
この絵のモデルになった女の子・Grietが主人公となっている。

Grietの父親はタイル作りの職人だったが盲目になってしまって、一家は貧しくなる。
長女であったGrietはフェルメールの家へメイドとして入るのだった。
その理由がというのが、フェルメールのアトリエを掃除に際して物を絶対動かしてはいけない、Grietは盲目の父親の為に物を動かさない術を身に着けていたので、それを買われてメイドとなったのだった。

いわゆるアトリエは神域となっていて、フェルメール夫人も入ることが許されていない場所。
フェルメール家にはすでにメイドが一人いたのだが、そのメイドにも、夫人にもあまり気持よく迎え入れられていない。
夫人の母親も同居しているのだが(フェルメールは入り息子のようなものか?)、その人だけが、Grietに反感を抱いていないという感じ。

次第にフェルメールに心を寄せて行くGrietだが、肉屋の息子にも求愛されて親公認になったいく。
それと同時に、フェルメールから絵具の用意のアシスタント業を課せられる。もちろん極秘。
また、フェルメールのパトロンに眼を付けられたGrietは、ついにモデルにもなるのだ。
だが、これも超極秘の中で進んで行くのだが、最終的には、Grietと敵対関係にあるフェルメールの娘によってばらされてしまうのだった。
メイドが真珠の耳飾りを付けるなんて言語道断。しかもそれもフェルメール夫人の物、となると、フェルメール夫人から怒り狂われて追い出されてしまう。

一応、物語の最後では、Grietは肉屋に嫁ぎ、そのなりに幸せに暮らしている。
ある時、フェルメールの死を噂で聞くのだが、そうこうしているとフェルメール家から使いがやってくる。
なんと、フェルメールの遺言で、あの真珠の耳飾りが譲与されたのだ。
結局Grietはそれを売ってしまうところで話が終わる。


とにかく、このGrietと敵対関係にある娘(割と小さい)が非常に憎たらしくてしょうがない。
Grietが大事にしているタイルを割ったり、そっとフェルメール夫人の櫛をGrietの部屋に置いたり、Grietがフェルメールのアシスタントのような仕事をしていることをばらしたり、と何かと窮地に落とし込む。
本当に幼い子どもがここまで頭が回るのか!?と思うくらい。
それが、割と淡々としている物語に対して、展開を促す形になるのだが、正直、これしかないのでもう少しバラエティがあってもいいかと思った。

また、最後の終わり方も結構あっさりしていて物足りない感じがした。
あんまりフェルメールの描写が少ないからなのか、結局Grietとフェルメールの関係がいまいち掴みにくく、最後に真珠の耳飾りを残す、というのが陳腐に見えた。そしてそれを売るって…まぁそれしか対処のしようがないんだろうけどさ。

当時のオランダの様子などが分かったし、淡々とした雰囲気も嫌いではないけれども、あとほんの少しのスパイスがあったらもっと面白いのにな、と思った一作だった。

Category : 小説:歴史
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