望月森宮 「無貌伝~綺譚会の惨劇~」 2011年 講談社
なんとなく順調に進めている無貌伝シリーズ。
今回は予想だにしなかった展開で、ある意味シリーズの次段階への橋渡し的な話だった気がする。
因みに前作の挽回とばかりに望が出てきて、むしろ逆に秋津はほぼ出て来ない。
橋渡し的と言っても軽いタッチではなくて、しっかり面白かったのが良かった・
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齋藤智裕 「KAGEROU」 2010年 ポプラ社
妹が売っぱらう本の山の中に入っていたので、読んでみようと持って帰って来た「KAGEROU」。
話題の時期から随分と遠ざかり今更のように読んでみる。
相当な批判があったけれども、ものすっごくひどくて読めない、とまではいかない。
そうは言っても、面白いわけでもないけれども。
何も知らずに読んでも同じ感想を持つのかは分からないけれども、ただ言えるのは純粋に私の好みの本ではなかった。
“生命の重さを語る”には軽すぎるし、なんだか掴み所のないぼんやりとした物語だったのは否めない。
あらすじは、ある中年が飛び降り自殺をしようとしているところを、青年に止められる。
どうせ死ぬのであれば、自分の体を売りませんか?と言う。
家族に莫大なお金を残せると知って、両親のためにもいいし、どうせ死ぬつもりだし、と承諾する。
死んだふりをして疑似お葬式をあげさしたりなんかして、いよいよ自分の体を切り刻むことになる。
そのお葬式会場からの帰りに、心臓の悪い女の子と同じ車に乗る。まぁここで、この子に心臓をあげるのね、はいはい、となる。
薬で安楽死のようにされるのだが…ある時目覚めてしまう。
どうやら手違いが起きたようだ。
そのお詫びに人工心臓を付けてもらって出歩いたりなんかする(既に心臓は移植済みだったので)。
この人工心臓というのが、笑ってしまうことにねじ巻き式。ハンドルをつけてきりきり回すのだ。あまりにファンタジー過ぎやしないか…
とりあえずそんな形で、車で出会った少女の元へ会いに行って交流する。
最後はまた移植のために意識を手放す。
そして、自殺を止めた青年へをへ移植したのか…?といった匂いを漂わせて終わり。
淡々とした雰囲気、というのは嫌いではないのだが、とりあえず印象にあまり残らない作品。
凄く悪いわけでもないから余計印象が薄い。
これで賞金もらったのか~と思うと、若干納得がいかないかなと思う。