島田荘司 「写楽 閉じた国の幻」 2010年 新潮社
本の紹介雑誌に載っていた本書。読みたい本に登録したままだったのを、図書館で見つけたので借りてみた。
久し振りの島田荘司のうえにめちゃくちゃ厚い。
しかも、先日読んだ
写楽本はあまり面白くなかったので、島田荘司ならばどう料理するのだろうか、と楽しみであった。
が…全然面白くなかった!!!
舞台は現代で、写楽の謎を解く、という流れなのだが、正直、これは小説にする必要ある?という感じだった。
北斎の話から始まるのだが、その北斎の話も長い。
そして写楽の説明も長い。
こうなったら何かを省いてよ、と思うくらいどちらも長い。
島田荘司もあとがきに、思わず長くなってしまって、これ以上長くはできなくなってしまい、色々と書き足りないところが出てきてしまった…的なことを書いている。
いやいや、こんな長く時間を費やして本読ませたうえに、こんな消化不良ってどうよ!?と思ってしまった。
しかも、自分の不注意で息子を亡くしたのに、写楽研究に没頭したり、美しい女性にふらふらしたりと、主人公に嫌悪感しかない。
確かに不遇な状況かもしれないけれども、何もかも人のせいにするのもどうかと思うし…
というわけで、時間を無駄にした気がしてならない本であった。
以下、簡単なあらすじ;
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Frederick Forsyth "The Outsider, My Life in Intrigue", 2015, Corgi
全部を読み切ったわけではないけれども、ちょこちょこ読んで面白いと思っているFrederick Forsythが自伝を書いたというのを、
本屋をぶらぶらしているときに知り、読みたいリストに入れていた本書。
どうせならと思い、原作を買ってみた。
これの前に、Michael McIntyreの自伝を読んでいたので、
ちょっと引きずってしまい、あまりの違いにまごまごしてしまった。
もちろん、読む前からまったく違うことは分かっていたのだけれども…
それも原因の一つかもしれないが、正直なところ、Frederick Forsythにあまり共感できず
むしろ、「いけすかない奴だな」という印象を受けてしまったので、
読まなければ良かったかも…という後悔も若干ある。
父親の考えのおかげで、小さいころにフランスへ夏休みのたびに行ったり、
その後はドイツに何度も行ったりで、フランス語とドイツ語がぺらぺらになったのはすごいと思う。
また、RAFに入りたかったけれども年齢制限があった為入れなかったところを、
父親がコネなどを使って入れた、というのも、まぁ息子の為に頑張る父親ということで良いと思う。
が、なんだかこの書き方がちょっといけすかなくて、自慢話にしか聞こえない。
(正直、年齢制限あるなら、ちゃんと待てよ、という気持もある)
例えば、RAFに入りたいというと、学校が、これだけ優秀なのだからRAF行くのはもったいない、
是非ともケンブリッジなどに行け、と言ってきた、というエピソードを差し込んだりする。
本当に優秀だったのかもしれないが、そんなshow offしなくても…という気持になってしまった。
これは文化の違いかな、とも思ったが、Good Readという英語サイトで
いくつか、こういった指摘のレビューがあったので、万国共通の感想かもと思った。
因みに父親が息子にドイツ語を勉強させた理由が立派。
戦争末期にドイツ軍のベルゲン・ベルセン強制収容所の映像を観てショックを受けた父親は
ドイツ人と今後いっさい会いたくないと言っていた。
が、その後に沢山のドイツ人に会うようになり、
息子に、ドイツのこと、ドイツ人のことを学ばせる為に、ドイツへ送ることにしたのだった。
母親が父親に理由を問うと”Because it must never happen again"(p38)と言ったとのこと。
ただ忌避するのではなく、これらかの平和のため、一人息子に向き合わせようとする姿勢がすごいと思った。
その他興味深かったのは、西ドイツに住んでいた時の話はとても面白かった。
普通の人が経験できないことを経験したからこそ、あんなに生き生きとした小説になるのだなということが分かった。
また、Biafraについて、恥ずかしながら知らなかったので、非常に衝撃的だったし
そのことを知れて良かったと思った。
特に、やせ細った女の子が弟を連れて、ご飯を恵んで欲しい、と来た時に
本当に食べ物を持っていなかったので、言いわけではないけれどもないんだ、と一生懸命伝えると
怒ったり文句を言ったりせずただ頷いてそこを去る、
Frederick Forsythは彼女が森で弟を抱きながら死を待つことを考えると大泣きしたというエピソードは印象深かった。
とりあえず、パーツパーツでは面白かったのだが、もやっとするところが多かったので
小説でその詳細を知りましょう、と思った。
小説というフィルターがかかってしまうとは思うが、割と大きな割合で真実っぽいので
問題なく読めそうである。