どの世界でもそうだろうが、プロになれなかった人たちの現実が厳しすぎる・・・
橋本長道 「サラの柔らかな香車」 2012年 集英社
確か、その昔、雑誌で紹介されていた気がする、ブクログで「読みたい本」として登録されていた本。
実に7年越しに読んだわけだけど、将棋のことをまったく知らないと、若干理解しにくかった。当たり前だろうけど。
本書が、新人賞受賞作らしいが、それゆえか、文体自体も割と読みにくかったのも、いまいちのめりこめなかった原因の1つかもしれない。
視点がどんどん変わるのが付いていけない感じ。
というのが、視点の1つに「私」があり、例えば全視点が三人称、もしくは「私」だったらまだ分かりやすかったかもしれない。視点の種類が混在していると、自分がどういう目線で読めばいいのか、戸惑ってしまう。しかも、唯一の「私」も、「私」である必要性があまり感じられず、重要人物でもないから、この「私」って誰だったっけ…?となってしまう。
ただ、「天才」という言葉に翻弄される将棋界の話として興味深いところもあった。
作者自身がその世界にいたらしいので、「天才」と呼ばれた人が天才でなくなる瞬間、そして将棋界から去った人の葛藤などに、リアリティを感じた。
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