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がらくたにっき |

『銀河鉄道の夜』は1節だけでも泣ける


ほしおさなえ 「活版印刷三日月堂 星たちの栞」 2016年 ポプラ社


何がきっかけかもはや忘れてしまったけれども、昔に「読みたい本」として登録していた本。
図書館で借りて読んでみたら、めちゃくちゃ面白かった!!!
連作になっていて、タイトルにある活版印刷三日月堂が何かしら関わる話になっている。
面白いのが、活版印刷三日月堂自体がメインにならないところ。

そして一つ一つが胸を打たれるようなツボがあって、電車の中で読むとえらいことになった。
でもどれも、「泣かせてやろう」という見え見えのものがなくて、じーんと温かい涙を流す種類のもので、それがとても好感度が持てた。

何よりも、活版印刷が素敵!と感じられるような表現が随所にあって、文章力のすごさと同時に、作者の活版印刷への敬愛を感じられた気がした。

以下、各章のあらすじ;

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Category : 小説:現代
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「支渡寺」を観たことあるけど、そんなしんどい演目だとは思わなかった


有吉佐和子 「一の糸」 平成21年 新潮社


文楽をよく観に行っていた時に読もうと思いつつも、借りてみても2ページくらい読んで、気が乗らずに返してしまった本。
再チャレンジしてみたら…めちゃくちゃ面白かった!!!
これぞ一気読み、という感じで、寝る間を惜しんで読んだ。

物語の設定としては、ちょっとだけ朝井まかての「恋歌」に似てるかな、と思ったけれども、まぁ似ているのは主人公がお嬢様というところと、母強し、というところか。

有吉佐和子といえば、「連舞」「乱舞」と続けざまに読んで、その時も相当面白くて一気読みしてしまったけれども、読むのに勢いがついてしまう。
決して好きなキャラクターではないけれども、「それで!?それで!?」と先が気になってしょうがなくなってしまうのだ。

以下、簡単なあらすじ;

Category : 小説:近代
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キケロがいい味出してる


塩野七生 「ローマ人の物語11 ユリウス・カエサル ルビコン以後[上]」 平成16年 新潮社


読み始めて手付かずになっていたけれども、旅行のお供に持っていったら、やっぱり面白く一気読みしてしまった。
行先はタイという、ローマからほど遠いところではあったけれども…

本書はカエサルがポンペイウスを追い詰めて追い詰めて、最後はエジプトでの内乱をおさめるところで終わっている。
塩野七生のカエサルへの愛がすごくて、少々引くところもあるけれども、やはり戦闘シーン、特に圧倒的不利なところから挽回するところは読んでいて興奮してしまう。

カエサルとポンペイウス、戦力に大きな差があった。
数でいえばポンペイウスが圧倒的。しかも彼がローマを捨てて逃げて行ったギリシアは、ポンペイウスのクリエンテスだったのだ。
地中海を手中に入れていたポンペイウスは、船を全部自分のものにしてしまっているので、カエサルは海を渡ることさえできなかった。
そんな逆境を超えて、どんどんポンペイウスに迫っていくのは、読んでいて面白くないわけがない。
もちろん、最初からうまくいくわけではなく、カエサルも何度かポンペイウスに負けている。
だからこそ、というところがある。

ただ残念なのが、ポンペイウスの最期。
エジプトに逃げてきたポンペイウスを騙し討ちという形で、エジプトは殺してしまうのだ。
この行為は、ローマにエジプトへ対する遺恨を残してしまう。と気付かないくらい、エジプトは自分たちの立ち位置を理解していなかったのだ。
カエサルは、エジプトの内乱に入り、結果的にはポンペイウスを殺した人たちが殺されたのを見届けるのであった。
因みにこの内乱で勝ったのが、あのクレオパトラである。

以下、印象的だったシーンの抜粋;

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ジム・トンプソンの事件が、当時も日本であまり報道されなかったというのが謎


松本清張 「松本清張全集58 熱い絹」 1995年 文藝春秋



タイへ出張に行った際にジム・トンプソンの存在を知り、更にお休みの時にジム・トンプソンの家に行って
「失踪したまま行方不明」という衝撃的なことを知った。
ホテルに戻ってWikipediaで調べたら、戦時中はCIAの前身であるOSSに所属していたスパイだった、ということに驚き、
更に松本清張がそれを題材にした本を書いている、とあったので、帰国するや図書館で借りてきた。

借りてみると…
二段組になっているうえに結構なページ!
ジム・トンプソンの事件がそのまま描かれているのではなく、ジム・トンプソンの血縁者の殺人事件を発端として、ジム・トンプソンの謎を解いていく形を取っている。
実際に、ジム・トンプソンの姉がアメリカの自宅で殺害されており、こちらも犯人が分かっていないので、彼の失踪に関係があるのか分かっていない。
「熱い絹」では、ジム・トンプソンにあたるジェームズ・ウイルバーの妹・フランシス・ウイルバーが軽井沢の別荘で殺害されたことが発端で、日本の警察がジェームズ・ウイルバーの失踪事件に関わることになっていくのだ。

ただ…物語の中盤になるまでが、すごく読むのがしんどかった!!!
事件に関係あるのか・・?という細かい描写が延々と続き果てしなかった…

中盤以降、話の展開がぐっと核心にせまっていくので、やっと面白くなる感じ。
ただ、結末はちょっと納得感があるものではなかった。
内容に無理があるとかではなく、こんな長い話の割にあっさり終わってしまうことへの残念感というか…

ただこんなに丁寧に丁寧に物語を紡いでいくのは、現代の作家にはなかなかないことだと思うので、
徐々に核心にせまっていくのを読むのを楽しむのに慣れていなかったのかな、とも思った。
そこを、読む前から分かっていたら、もう少し楽しめたかも…?

以下、あらすじ(激しくネタバレ含む)

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