その昔、本のブログに日参していることがあり、そこで絶賛されていたのがローズマリ・サトクリフの本。
あれからXX年…やっと読んでみた。
結果。いやー--面白かった!もっと早く読めばよかった。
児童書の分類だけれども、侮るなかれ。わりと歴史を知らないとついていけない気がした。特にローマ軍団の階級とかがちょっと分かりにくかった。
でもだからといってお堅い歴史物語なのではなくて、冒険もあり、友情物語でもあり、エンターテインメント的に面白い。
冒険のなかで、ローマ人ではない土着のブリトン人が出てきて、仲良くなる場合もあれば敵として戦う場合もある。
種族が違う人が出てきて交流があるという図は、ファンタジーみたいで(エルフと人間みたいな)、そこが物語を面白くしているのだけれども、
一方で、実際は昔現実にあったであろう征服者と被征服者の話でもあると思うと、ファンタジーではなかなか味わえない重さみたいのも感じる。たぶん、ファンタジーのように異世界という意識がなくなるからなのだろう。
以下、簡単なあらすじを。
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友人が「最近ジェーン・スーさんのラジオをよく聞いてて元気もらってる」みたいなことを言っていたので、申し訳ないことにジェーン・スーさんのことを知らなかったので本を読んでみた。
うー---ん…正直なことを言いますと。
え、本当にジェーン・スーさんのこと言ってたの?と友人に聞き直したい。
四十代独身でも良いのだ、と言っているけれど、その裏から”東京で成功しているんだ”という自負からくると思しき虚栄心が見え隠れするんですけど…
もっと言うと、「良いんだ」と言ってるけど、心から言っているというわけではなくて、自分に言い聞かせてるように見えるというか…
私がひねくれて解釈してるのかもしれないんですけどね。
本当に心の底から四十代独身であることについて何も思ってない自分からすると、タイトルに”ひとまず”とつけているところに、本気で納得はしてないんだろうなと思ってしまった。
本当に申し訳ないけど、私には合わない本でした。
それでも、最後には何か得るものがあるかなーと思って読破したけど、ま、うん、これが答えだね。
ジェーン・スー『ひとまず上出来』2021年、文藝春秋
ネットでマンガの紹介をしているのを読み、マンガよりも原作を読んでみようと”読みたい本リスト”に追加。
結局読んだのは、皮肉にもロシアのウクライナ侵攻が激化している時。本書とはロシアの立場が逆転してしまっている。
本書に描かれている凄惨な内容を読むと、
なぜ自分たちがドイツの侵攻に必死で抵抗したのと同じように、ウクライナも抵抗すると思わないのか、
なぜ自分たちが理不尽な気持ちでいたように、今ウクライナで人々が同じ気持ちになっていると思わないのか、
なんというか、愚かしい歴史が繰り返しているという虚しさみたいなものを感じた。
おそらく本書は、それまで語られず、むしろ煙たがられていた「女の戦争」に焦点をあてるというのが目的だったんだろうけど、今この時期に読むと、また違った様相をしてくる。
簡単に本書について紹介すると
本書は、ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの処女作である。
第二次世界大戦時、『独ソ戦』で読んだ通り、ナチスドイツが不可侵条約を破ってロシアに攻めてくる。その時ロシア側では、男性だけではなく女性も志願し従軍した。しかし、こうした女性は第二次世界大戦後、語られることはなかった。
アレクシエーヴィチ氏は言う。戦争の本は常に男性の目線で書かれており、女性が話すとしても「男の」戦争観の中で語られる。戦後生まれのアレクシエーヴィチ氏は、家や戦友たちの集まりの時だけに女性たちが少し語る内容に衝撃を受け、本書を書こうという動機に至った。
あちこちに赴き、従軍した女性たちに聞き取りをした内容が記述され、ところどころにアレクシエーヴィチ氏のコメントが入っている。
コメントは、聞き取りの大変さ、そこから見えてくる戦後の女性たちの苦悩が見て取れる。
本書は内容の性質上、まとめるということはできないので、印象的だった部分の引用をしていく。
オバマ前大統領も愛読と聞いて、ただただミーハー心で読んだ本書。
正直なところ…あまり面白さが理解できませんでした。。。
読み始めてから「あ、そういえばそんなSF好きじゃなかったんだったわ」と思った(こら)。
それでも読み進めていけば面白いと思えるかも!と希望を抱きつつ読んだけれども、最後まで「ふーん…」で終わった。
三部作の一冊目なのでこれで評価してはいけないのかもしれないけれども、続きを読むかと聞かれると疑わしい…
まずばりばり文系で、理系の話をされると頭が痛くなっちゃう私には、説明が難解で眠くなる。
そこらへんをざっと流して読もうとすると、あまりにストーリーがあっさり過ぎて、何が面白いんだかよく分からなくなる。
といったどうしようもないルートをたどる羽目に陥ってた。
とりあえず本書のあらすじを書くけれども、何せあまり理解した気がしていないので間違っている可能性もあり。。。
第一の感想として、自分が受けた学校教育では、日本史においてはもちろんのこと、世界史においても近代史をやらなさすぎる、ということだった。
他の学校ではやっていたのかもしれないけれども、少なくとも私が履修した世界史は第二次世界大戦が勃発しそうなところで終わっていた気がする。
本当にお恥ずかしながら、独ソ戦について全然知らなかったので、無知であったことへの反省も含めて勉強になった。
以下、簡単に自分のためのメモ。
ただし、戦況についてはかなり詳しい時系列に沿った説明があったが、今回は割愛した。
戦争の被害の大きさを知るための指標の一つとして、死者数を挙げる。
ソ連は1939年の段階で、1億8879万人の人口を有していた。
第二次世界大戦で戦闘員866万8000ないし1140万人が死亡。
軍事行動やジェノサイドによる民間人の死者は450万ないし1000万人、ほかに疫病や怪我により、800万から900万人の民間人が死亡。
ソ連において、死者の総数は、冷戦時代には国力定家のイメージを与えてはならないという配慮から、公式の数字として2000万人とされていたが、ソ連が崩壊し、より正確な総計が取られるようになってから上方修正され、現在では2700万人が失われたとされている。
一方、ドイツは1939年の段階での総人口は6930万人だった。
第二次世界大戦で戦闘員444万ないし531万8000人死亡。
民間人の被害は150万ないし300万人におよぶと推計されている(この数字は独ソ戦の損害のみならず、他の戦線でのそれも含む)。
参考に日本では、1939年の総人口が約7138万人に対し、
動員された戦闘員210万ないし230万人が死亡、
非戦闘員の死者は55万ないし80万人だった。
ソ連、ドイツにおいて、戦闘のみならずジェノサイド、収奪、捕虜虐殺が繰り広げられた。
<背景>
1933年に権力を握ったヒトラーは、大規模な財政出動によって不況から脱却をはかり、景気は回復した。
軍事拡張を実行したが、体制への支持を失うことを恐れたため、国民の犠牲を強いることは避けた。
戦争準備と国民の生活水準維持という二兎を追うことで、財政は逼迫。
「持たざる国」であるドイツは、貿易の面でも問題に直面。
また、好景気により労働力不足にもなる。
結果、他国の併合による資源や外貨の獲得、占領した国の住民の強制労働により、ドイツ国民に負担をかけないかたちで軍拡経済を維持することに。
つまり、対ソ戦になる前から、通常の純軍事的な戦争に加えて、「収奪戦争」の性格を帯びていた。
また、ポーランドやユーゴスラヴィアなど、ナチスの眼からみた「劣等遵守」の国々に対しては、人種戦争の色彩が濃厚に。
対ソ戦に関しては、イデオロギーに支配された「世界観戦争」、具体的にはナチスが敵とみなした者への「絶滅戦争」が全面的に展開されることになる。
ドイツの計画は
第一段階で、ヨーロッパ大陸においてソ連を征服し、東方植民地帝国を建設、ナチズムのイデオロギーにもとづく欧州の「人種的再編成」を行い
第二段階で海外進出に乗り出す。
<ソ連>
1937年に大粛清が行われていた。
これは、レーニンが没したのち、スターリンの権力基盤はなお不安定で、
自分を追い落とそうとしている者が多数いる、という強迫観念にとらわれたスターリンは、秘密警察を動員、自分の先輩や仲間を含む、ソ連の指導者たちを逮捕・処刑。
1937年~8年にわたって、3万4301人の将校が逮捕、もしくは追放。内、2万2705名は銃殺されるか、行方不明となっており、実態は今も判然としない。
このことは、高級統帥、すなわち大規模部隊の運用についての教育を受けた将校、ロシア革命後の内戦や対干渉戦争での実践経験を有する指揮官の多くを、ソ連軍から排除してしまったことを意味する。
ナチスドイツ軍が不可侵条約を破って侵攻してくる情報も得ていたのに、疑心暗鬼になっていたスターリンは数々の有益な情報をすべて無視し、
そのため軍に防御も命じず、ドイツ軍の侵攻を許してしまう。
<戦況>
ドイツ軍にとって「絶滅」が目的となっているので、捕虜も殺してしまう。
それがかえってロシア軍の抵抗を強め、ドイツ軍は大いにてこずる。
そのため、途中で”殺さない”という方向転換をするものの、劣悪な状況で労働させたりと人道的な扱いをせず、死亡率が高かった。
ロシア軍も対抗とばかりに、ドイツ軍捕虜に対して人道的な扱いを行わなった。
戦況がロシア軍にとって有利となり、ドイツ本土に踏み入ることになったソ連軍将兵は、敵意と復讐心のままに、軍人ばかりか民間人に対しても略奪・暴行を繰りひろげる。
ソ連軍の政治教育機関は、抑制するどころか煽った。
「報復は盛儀であり、報復は神聖でさえある」(イリア・エレンブルグの書いた記事、p201)
更に、ベルリンを陥落した際には、略奪、暴行、殺戮をくり返していた。蛮行を恐れて詩を選んだ例も少なくない。正確な数字は特定されていないが700ないし1000人以上が自殺したと推定される。
<スターリンの外交>
ソ連のみが不均衡なほどにドイツの圧力を引き受けている、その代償として、勢力圏の拡大を認めよ。
チャーチル英首相とローズヴェルト合衆国大統領に、連合軍側でのソ連の貢献を誇示し、要求を出した。
米英側も、ソ連という重要な同盟国をつなぎとめる必要から認めざるを得なかった。
スターリン・ソ連の外交目標はドイツを徹底的に打倒することを前提として、中・東欧の支配を米英に認めされることへと固まっていく。
大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』、2019年、岩波新書
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