異端裁判のすさまじさが印象的
岩根圀和 「物語 スペインの歴史」 2002年 中央公論新社
読書会の課題本だった「物語 スペインの歴史」。
私にしては早く読み終わって、しかもつっこみ所満載の本だったので、非常~~~に読書会を楽しみにしていたののに…激務のせいで断念せざるを得なくなり…
本当に本当に無念だった…
本書はただのスペインの歴史書ではない。
タイトルの通り、“物語”風歴史書なのだ。
だから一体どこまでが史実なのか分かりにくいところがある。
それが難点といえば難点なのだが、逆にそれだからこそ読みやすかったとも言える。
もうひとつ特徴的なのが、歴史を漫然と語るのではなく、時代をしぼって語っているところ。
目次はこんな感じ;
第1章 スペイン・イスラムの誕生
第2章 国土回復運動
第3章 レパント海戦
第4章 捕虜となったセルバンテス
第5章 スペイン無敵艦隊
第6章 現代のスペイン
セルバンテスというのが「ドン・キホーテ」の作者。
どうやら本書の著者はセルバンテスの研究をしている人のようで、やたらとセルバンテスが出てくる。
第3章の「レパントの海戦」から第4章「捕虜となったセルバンテス」まで、特に4章なんて彼の為の章。
「ドン・キホーテ」を読んだことなかったので、セルバンテス自身の波乱万丈な一生が新鮮な驚きだった。
また、イスラムとスペインの関係が面白かった。
1492年までスペインでは常に、キリスト教徒とイスラム教徒が共存していたらしい(p53)。
というのが、イスラム支配下であった時、イスラム為政者は決して改宗を強制しなかったからだ(p56)。
だが、15世紀からイスラムを排除し、キリスト教徒になるよう強制されるようになる。そもそも、その動きはイスラムだけではなくユダヤ教にも及んだようだが。
ある意味、イスラムと共存していた歴史があるから、逆に走ったのだろうか。
それからはイスラムとの確執が起き、「レパントの海戦」へと繋がるのだった。
一応、この海戦はスペインの勝利に終わる。
ここら辺についてもうちょっと知りたいと思ったのだった。
余談だが、トマトが新大陸発見と共にヨーロッパに入って来た野菜ということを初めて知ってびっくりした。
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