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がらくたにっき |

タイトルを打つのが非常に大変!

「日本霊異記 中」 多田一臣・校注者 1997年 筑摩書房




上巻の続きで話を列挙すると;

・己が高徳を恃み、賤形の沙弥を刑ちて、現に悪死を得し縁 第一
・烏の邪淫を見て、世を厭ひ、善を修し縁 第二
・悪逆の子、妻を愛しびて母を殺さむと謀り、現報に悪死を被りし縁 第三
・力ある女、力捔べし試みし縁 第四
・漢神の祟りに依りて、牛を殺して祭り、又放生の善を修して、現に善悪の報を得し縁 第五
・誠の心を至して法華経を写し奉り、験有りて異しき事を示しし縁 第六
・智者、変化の聖人を誹り妬みて、現に閻羅の闕に至り、地獄の苦を受けし縁 第七
・蟹と蝦との命を贖ひて放生し、現報を得し縁 第八
・己寺を作り、其の寺の物を用ゐて、牛と作りて役はれし縁 第九
・常に鳥の卵を煮て食ひ、現に悪死の報を得し縁 第十
・僧を罵ると邪淫するとにより、悪しき病を得て死にし縁 第十一
・蟹と蝦との命を贖ひて放生し、現報に蟹に助けられし縁 第十二
・愛欲を生じて、吉祥天女の像に恋ひ、感応して奇しき表を示しし縁 第十三
・窮しき女王、吉祥天女の像に帰敬しまつり、現報を得し縁 第十四
・法華経を写し奉り、供養することに因りて、母の女牛と作りし因を顕しし縁 第十五
・布施せぬと放生するとに依りて、現に善悪の報を得し縁 第十六
・観音の銅像、鷺の姿に反りて、奇しき表を示しし縁 第十七
・法華経を読む僧を呰りて、現に口喎斜みて、悪死の報を得し縁 第十八
・心経を憶持する女、現に閻羅王の闕に至り、奇しき表を示しし縁 第十九
・悪しき夢に依り、誠の心を至して経を誦せしめ、奇しき表を示して、命を全くすることを得し縁 第二十
・攝の神王のこむら(足編に專)光を放ち、奇しき表を示して、現報を得し縁 第二十一
・仏の銅像、盗人に捕られて、霊しき表を示し、盗人を顕しし縁 第二十二
・弥勒菩薩の銅像、盗人に捕られて、霊しき表を示し、盗人を顕しし縁 第二十三
・閻羅王の使の鬼、召さるる人の賂を得て免しし縁 第二十四
・閻羅王の使の鬼、召さるる人の饗を受けて、恩を報ひし縁 第二十五
・未だ仏像を作り畢はらずして棄てたる木、異霊き表を示しし縁 第二十六
・力ある女、強き力を示しし縁 第二十七
・極めて窮しき女、尺迦の丈六の仏に福分を願ひ、奇しき表を示して、現に大福を得し縁 第二十八
・行基大徳、天眼を放ち、女人の頭に猪の油を塗れるを視て、呵嘖せし縁 第二十九
・行基大徳、子を携ふる女人の過去の怨を視て、淵に投げしめ、異しき表を示しし縁 第三十
・塔を建てむとして願を発しし時に生める女子、舎利を捲りて産まれし縁 第三十一
・寺の息利の酒を樲へ用ゐて、償はずして死に、牛と作りて役はれ、債を償ふ縁 第三十二
・女人、悪鬼に点られて、食噉はれし縁 第三十三
・狐の嬢女、観音の銅像を憑み敬ひ、奇しき表を示して現報を得し縁 第三十四
・法師を打ちて、現に悪しき病を得て死にし縁 第三十五
・観音の木像、神しき力を示しし縁 第三十六
・観音の木像、火の難に焼けず、威神の力示しし縁 第三十七
・慳貧に因りて、大きなる蛇と成りし縁 第三十八
・薬師仏の木像、水に流れ沙に埋れて、霊しき表を示しし縁 第三十九
・悪事を好む者、以て現に利鋭に誅られ、悪死の報を得し縁 第四十
・女人、大きなる蛇に婚せられ、薬の力に頼りて、命を全くすることを得し縁 第四十一
・極めて窮しき女、千手観音の像を憑み敬ひて福分を願ひ、大きなる富を得し縁 第四十二


今回気になった解説は;

・心経を憶持する女、現に閻羅王の闕に至り、奇しき表を示しし縁 第十九

経を唱える声がいいという女を、閻魔様が呼び寄せて唱えてもらう、というお話。
ここからわかるのは経典の読誦が、人びとの法悦に誘ういわば声の呪力というものを潜在させているという事実である。経典は、原則として漢文を音読する。和語としての意味はつかみにくいが、むしろそうした唱え方の中にこそ声の呪力があらわれると信じられていたのである。陀羅尼と呼ばれる呪文の場合には、梵音そのままを唱えるから、その響きの中に宿る神秘感は一層強調されることになる。(p173-4)



・狐の嬢女、観音の銅像を憑み敬ひ、奇しき表を示して現報を得し縁 第三十四
本文の内容自体の解説というより背景にあるタブーが興味深かったので。

男は、雨に降り込められて家に戻れず、三日間娘の家に留まったとある。「雨に障りて」とあるように、雨に濡れることは一種の禁忌として意識されていた。それというのも、雨にはつよい呪力があると信じられていたからである。雨は異界である天上世界から降ってくる。その雨の水はこの世の水とは違うはたらきをもつ「天つ水」だった。うかつにそれを身に浴びるのは、危険なことと考えられていたのである。(p274)

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Category : 古典
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