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がらくたにっき |

表紙がかわいいが、内容とあまり関係ない

猫舌男爵

皆川博子 「猫舌男爵」 2004年 講談社



読書仲間が面白いと絶賛していたので読んでみた。
うーん…短編集だったのがいけなかったかな。
相変わらず短編集は苦手である。連作ならまだいいのだが。

「水葬楽」
一番面白かった。が、おちが「綺譚集」と同じでがっかり。
寿命が短い世界で、衰弱しだすと身体にえらを付けたりなんかして、水の中に寝かす。そうして音楽を聴きながらいつの間にか死んでいるという。

「猫舌男爵」
「猫舌男爵」という日本の小説を翻訳(東欧あたり?)をして、その「あとがき」から始まる。
およそあとがきと思えないつらつらした文章で、その後に、あとがきから派生した手紙が続く(例えば、訳者の日本語の先生の、訳者への手紙など)

「オムレツ少年の儀式」
母親とドイツからやってきた貧しい少年。プラハでオムレツを作る仕事をしている。
仕事へ向かう道すがらで回想する物語となっている。最後に少年が母親たちを殺して仕事に向かっていることが分かる。

この文章が素敵

早暁のこの時刻はまだだれの姿もなく、残骸の裂け目に飲み込まれた夜の破片が残っているばかりだ。(p118)



「睡蓮」
色んな人の手紙で構成された一編なのだが、面白いことに手紙が遡って行く。
女流画家のことが書かれており、読み進めて行くと、彼女は才能があふれていたのだが、当時権威のある画家の愛人になり、更に彼に作品のアイディアを盗まれ、狂人扱いを受けて精神病院に長い間入れられていたことが分かる。
映画の「メメント」みたい。

「太陽馬」
ロシアの話ということで個人的に興味深い。しかも主人公がコサックというのが尚いい。
ドイツとの戦争時が舞台となっているのだが、負けそうになりながら逃げ込んだ図書館で読んでいる、中華風ファンタジーと、だんだん溶け出していくのが不思議な雰囲気を出している。
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