fc2ブログ

がらくたにっき |

主人公は割といい子

大沢在昌 「極悪専用」 2015年 文芸春秋




読みたい本にずっと前から登録されていた本だが、
何をきっかけに読みたい本に入れていたのかは忘れてしまった。
おそらく、中高時代にはまった新宿鮫シリーズやアルバイト探偵シリーズを懐かしがって
新刊を読んでみようと思ったのだろう(登録したのは2015年だったので)。
そこから随分経って、まったく新刊でなくなってしまったが…

テイストとしては、ちょっとだけ浅田次郎のプリズンホテルのような雰囲気を感じる。
ただ少々、軽々しいキャラ設定な感じがして残念な感じがした。

主人公・望月拓馬は薬の横流しをしたりする、なかなかのごろつき。
祖父はその筋では有名な人ということで、捕まっても祖父の名前を使って逃げるのが常であった。

が、ある時、祖父の名前を出してもまったく通用せず、拉致される。
むしろ祖父の命らしい。
日頃の行いに対して、腹に据えかねた祖父は、根性を焼き直そうと
あるマンションの管理人のアシスタントを命じる。
12か月勤めあげたら認めてやろう、逃げ出したら殺す、といった感じに。

そのマンションの管理人は白旗といい、口に一文字の大きな傷を負っており
そのおかげで、普通の人は白旗の言っていることがよく聞き取れない。
が、不思議なことに拓馬は聞き取れるのだから、都合よくできている。

マンションは非常にセキュリティが強固なマンションで、
のっぴきならない人が住んでいる場所であった。
のっぴきならないというのは、命を狙われているような人たちだ。
そういった人たちに高額で部屋を貸しているのだが、
死体処理も請け負っている。

前のアシスタントは4カ月半で住人によって殺されたらしい。
12ヵ月生きていられるかが問題となってくる。

話が進むにつれ、白旗の過去が分かってくる。
白旗は元々警察官で、龍胴寺さくらと出会う。
龍胴寺は特殊な家で、政府から暗殺を請け負っているような家だ。

白旗はさくらと結婚するが、その後に出会ったジェーン・ホワイトとの仲を疑われ
口を切られるのだった。

その後、さくらは精神的におかしくなり、
外聞が悪くなることを嫌った龍胴寺家により、海外の暗殺の仕事をメインにこなすようになっていた。

が、失敗して密かに日本に帰ってきたのを、ジェーン・ホワイトが依頼されて暗殺することになっていた。
二人が対決しないように骨を折る白旗と主人公だが、
結局、それは成らず、さくらは死亡、ジェーンは姿を消す。
マンションもジェーンによって爆破されてしまう。

爆撃を受け気絶した主人公は、病院で祖父に顛末を聞く。
祖父は一応、主人公を認める形になる。


おおむね面白かったけれども、さくらとジェーンに取り合いされている白旗の図が
なんだかおじさんの夢っぽくて、興ざめであった。
気楽に読める本であることは間違えない。
スポンサーサイト



Category : 小説:現代
Posted by nizaco on  | 0 comments  0 trackback

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:https://nizaco.blog.fc2.com/tb.php/703-1e991cac
該当の記事は見つかりませんでした。