秋元雄史『アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法』
やたらと「アート思考」という言葉を聞くようになり、アート好きを自負している者としては読んでおかないといけないかなと思って読んでみた。
正直なところ、申し訳ないんですけど、色々と事例が出て文章も難しくないはずなのに、読んだ端から内容忘れた…
おそらくあまり自分に響かなかったのかな。。。
とりあえず、「アート思考」というのはアーティストがどういう思考で物事をとらえているのか、というのを解く話で
それをビジネスに直接的に生かすというよりも、
アーティストの思考方法を学ぶことで、イノベーションを起こすヒントを得る、
みたいな内容だったと理解しました。
おそらく、たたみかけるように次々と事例とか主張が語られていて、逆に焦点が合わない感じだったのかも。
とりあえず、各章の終わりにその章のキーポイントが書かれていて、それを読んで「ああ、そういうことね」と理解するという感じ。
これはあくまでも私の個人的な感想なので悪しからず。
以下、その章終わりのキーポイントから学びの有ったポイントをピックアップ。
第1章 すべては「問い」から始まる(p62-65)
2.「アーティストとは、答えを示すのではなく、問いを発する人であう」「(ジェームズ・タレル)。これからの時代に求められるのは、答えを引き出す力以上に「正しい問いを立てることができる洞察力とユニークな視点」である。
3.現代アートは、「現代の人間像について多角的に考えて、未来に向けて、さらなる可能性を持つ新たな人間像を求め、人間の概念を拡大することに挑戦する試み」である
7.世の中の問題解決をするデザイナーの時代から、自分だけが信じる主観的な世界を世の中に問いかけていく問題提起型のアーティストの時代に変わろうとしている
第2章 アートとビジネスの交差点(p92-93)
1.社会に新たな価値をもたらし影響を与えてきた人たちは横断的な知識を身につけていて、そうした複合的な人材はますます必要になってくる
3.単なる「改善」ではなく、既存のものとはまったく異なる発想を行うときに求められるのが、ゼロから何かを生み出すアーティストの思考法
9.現代アートの鑑賞は、自らの頭で主体的に考えることのトレーニングにもなる
第3章 イノベーションを実現する発想法(p141-144)
2.優れたアーティストは、常に相手に対し当事者意識を持って向き合い、あたかも舞台の中央に立っているかのような姿勢で臨む
3.自らの視点を持ち、そこから世界を眺めているという自負を持っているのが、アーティストであり、彼らはその自己に対する信頼が人一倍、強い人たちである
9.デザイナーは自分の外側にある課題に向き合うのに対し、アーティストは自分の内側から湧き上がるものに向き合っている
11.感動というのは、かなり個人的な体験だが、文脈に解消されない固有の体験であり、あなたが世界に出会った証しであり、アーティストが世界を眺めているときと同じ感覚である
16.国際的なアートフェアに工芸が登場したのは、テクノロジーが進化し、情報が進んでいき、人と人のつながりが弱まり、人とものの関係も希薄化した中で、改めてものが持つ手触りや魅力を見直そうとする動きがある
第4章 アートと資本主義(192-195)
1.西洋美術は破壊的イノベーションにより常に深化してきた
5.アートが拡大し続けるように、資本主義も拡大を続けていくだろう。
それは美に弦かいがないように、人間の欲望にも限界がないためだ
7.知名度、制作年代、存命か物故か、制作された作品数、これからも新たな作品が世に出るのかといったアーティストに関する様々な条件により価格は決まる
9.どんなアート作品にも社会化のプロセスが必要で、その結果、資産としての価値も生まれる
13.社会的な”幻想”という意味ではアートと貨幣は似ている
15.社会全体の生産力が上がり、社会が豊かになり、多くの者が富を所有するに従い、アートも広がって行く
16.アートの本質的な価値とは、見る人の感情や精神を揺さぶり、生きている意味を肯定するものであり、もしかすると宗教に近いものかもしれない
第5章 現代アート鑑賞法(246-249)
1.現代アートの特徴は、「深く感じ、考える」という傾向を重視すること
2.「常識を疑う」「ゼロベースで考える」は、現代アートを鑑賞する基本的な姿勢
3・現代アートは、自分と社会との関係を探していく羅針盤のような存在である。そのための不確実性が増大する現代ときわめて親和性が高い
4.現代アートは、過去の歴史を物語として参照して、それによって個々の作品を成り立たせているところがある
5.現代アートになるための要素は、「美」を広く哲学的に捉えて、「現代社会の課題に対して、何らかの批評性を持ち、また美術史の文脈の中で、なにがしかの美的な解釈を行い意味を提供し、新しい価値をつくり出すこと」といえる
14.欧米とは異なり、日本のコミュニティアートはまちづくりと一体化し、一般の人々の暮らしの場に近い場所でアートが実現するのが特徴である。
秋元雄史『アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法』2019年、プレジデント社
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