Joan G. Robinson "When Marnie Was There"
河合隼雄の児童文学についての本を読むのにあたって、紹介されていた本を読むシリーズ。
今回は「思い出のマーニー」。
完全な洋書というより、講談社が出しているものなので、後ろにNotesもあって分かりにくい文書の和訳があったので楽ちんだった。
それにしても結構、話を忘れていた!そのおかげか、二回楽しめた。
何度読んでも感動できるのは嬉しいこと。名作だなとつくづく感じた。
因みに前回の自分の感想を読んでみたら、なんと浅いことよ!(笑)
母がその後に読んで、これは無意識の話に違いない!とえらく感動していたのだが、今回読んでみて「これを言っているのかな」と思った。
(以下から軽くネタバレ)
つまり、アンナは本当に小さい頃に祖母から、祖母の小さい時の話を聞いていた。
その場所に来たことによって、無意識の中にあった祖母の昔話が思い起こされ、それがマーニーという姿で現れ、一緒に遊んだ、という説を、母は説きたかったのかな。
でも私は、やっぱりマーニーとアンナは時空を超えて友達になったという解釈をしたいかな。
マーニーの寂しさや、祖母となってアンナを育てられなかった無念が、友達になることによって消化される気がするからだ。
前の感想では、リンジー家の子供たちと遊ぶことによってマーニーのことを忘れるのが腑に落ちないと書いていたけれども、今回はとてもしっくりした。
マーニーはこの世の子どもではなかったから、今の時間軸にいる人たちと交わることによって、記憶が薄れていったのだろう。つまりアンナは、マーニーとのチャンネルを失っていったというか…
記憶がなくなったとしても、マーニーと特別な友達になることによって、今まで友達ができなかったアンナは、他人と交わる準備を整えられたわけで、それだからこそリンジー家の5人兄弟ともすんなりと交流することができたのだろう。
そして5人兄弟との交流も、マーニーという存在があったからこそ、更に親密になれた、ということも忘れてはいけない。
もっと言うと、養母へのひっかかりも、マーニーに吐露したことによって、その後の関係回復への行動に繋がっていったのではないかと思うし、マーニーとの別れ際にマーニーの裏切り行為(風車でアンナを置いて行ってしまった)を許したことで、それまで母親や祖母に抱いていた怒りも溶解していったのだと思う。
自身が幼少期にネグレクトを受けていたことから娘とうまくいかず、娘夫婦の死後に孫と関係構築しいようとした矢先に亡くなってしまうのだが、自分の存在が孫であるアンナを成長に導いたと考えると、浮ばれるんじゃないかなと思った。
と同時に、それだけだとマーニー自身の寂しさは払拭されていないわけで、それがアンナと友情を育むことで、幼少期のマーニーも慰められたらなと思った。
ただ、この考えって日本的なのかな…と思ったりも。そうなると作者の意図はかなり違いそうだな…
最後に印象に残った文章の抜粋;
イギリスの田舎風景を思い出した一文
She (Anna) knelt there, listening to the now familiar country sounds; voices from the fields, the distant rattle of farm machinery, and the roar of the last bus from Barnham as it came tearing down the hill and disappeared along the coast road. Then there was silence --- only the odd cry of a bird from the march, and little ticking sounds that she could never quite identify. At night the silence fell like a blanket. When a dog barked you could hear it from one end of the village to the other. (p43)
マーニーに出会ったものの、一人になると孤独感を募らすアンナをよく表現していると思った一文
Already she had spent many afternoons here, lying in a sandy hollow, hearing only the wind rustling the tops of the grasses, the distant crying of the gulls, and the soft soughing of the sea. It was like being at the very edge of the world. Sometime the gulls came nearer, screaming noisily as they quarrelled over small fish in the pools, and sometimes they cried mournfully far away along the beach. Then Anna felt like crying too--- not actually, but quietly--- inside. They made a sad, and beautiful, and long-ago sound that seemed to remind her of something lovely she had once know--- and lost, and never found again. Bus she did not know what it was. (p80)
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