日向理恵子『火狩りの王』
完全にジャケ読み。
当たり前ながら十二国記とは全然違う話だったけれども、とっても面白かった!!!
割と一気に読み終えてしまった。
まるっきり異世界というわけではなさそうで、地球のかなりの未来という風にも読める。
物語は始まったばかりでどうなるのか分からないけれども、簡単に第1巻目のあらすじは以下の通り。
世界観としては、ナウシカにちょびっとだけ似ているかも。
争いがあった後に土地が焦土と化して、人間は簡単に燃えてしまう体質になってしまった。
火を扱えなくなってしまった人間は、地上を覆い尽くす黒い森に住む炎魔(猿や狐といった動物の形はしている)におびえて暮らしている。
そこへ人間とは違って寿命が極端に長い”神”が現れ、火を与えた。
神族が作った鎌で炎魔を狩ると、炎魔から人間が触れても燃えない火を取ることができるのだ。
こうした炎魔を狩る人は”火狩り”と呼ばれていた。
黒い森の中には、炎魔から守る結界を張り巡らされた小さな村が点在する。
そこでは、硝子や紙、竹細工といった、1つに特化したものが生産されている。
そういった製品は回収車によって回収され、首都に送られていく。
首都には大きな工場があり、そこで加工され、そして神族へと献上されていくのだ。
工場の動力は火で、そのために首都に所属する火狩りも多くいる。
因みに神族は、火・水・土それぞれに特化した能力を持つ異能者である。つまり長い寿命の他に異能も持つのだ。
神族の分家に<蜘蛛>と呼ばれる人たちもいて、その人たちは今の神族と反発する勢力で、どこにいるのかは分かっていない。
しかし、炎魔の毛皮を着ているらしい。
また木々人と呼ばれる種族もいる。
この人たちは、普通の人間と違って、森の中を自由に行き来できる。
どうやら炎魔に襲われないように、そのように神族に作られたらしい(というのが物語が進むうちに分かる)。
村の人たちに、黒い森で採取できる薬草などを届けてくれたり、森に迷った人間を助けたりしてくれる。
ただし、各種族に守護樹みたいのがあって(生き木と呼ばれる)、そこからあまり離れて生きることができない。
といった世界観(私の理解があっていれば)。
その中で物語が展開されるのだが、2人の主人公によってそれぞれ話が進む。
一人目は紙の村出身の灯子。
両親は、発火する事件が発生し、それに巻き込まれて死んでしまった。
そのため祖母と、同じ事件で夫を亡くしたおばさんの家に住まわせてもらっている。おばさんには娘もいた。
おばさんがどんどん視力を失っているのを知った灯子は、木々の人が薬草をなかなかくれないのに業を煮やして、こっそりと森の中に入ってしまう。
そこで炎魔に襲われるのだが、それをある火狩りが助けてくれた。しかし当の火狩りはそこで死んでしまう。
火狩りは必ず犬を伴っているのだが、火狩りが亡くなる前に”かなた”と告げた犬は、灯子のみに懐いている。
祖母やおばあさんの言いつけにより、灯子はかなたと、火狩りの形見である守り石と鎌を遺族に届けるため、首都を目指すことにする。
首都へ行くためにおばさんが交渉してくれて、回収車に乗って行くことになる。
回収車には、花嫁が3人乗っていた。
どうやら各村で変な事象が次々と起きているらしい。
そもそも灯子の村の周辺では、異常に炎魔が増えてきたという状況だったし、竹細工の村では竹が一斉に枯れるということが起きたらしい。
そのため、厄落としの意味をこめて、選ばれた娘たちは遠い村へ嫁入りすることになったのだった。
灯子は花嫁ではないので回収車の雑用を言いつけられるのだが、寝る場所はその3人の花嫁と一緒だったので仲良くなる。
といってもその内の一人、火穂は誰にも心を開かず、ずっと一人でいたのだが…
ある日、火穂は回収車が動きを止めたのを見計らって脱走する。
ところが脱走した直後に炎魔に襲われているのに気付き、灯子は追いかけてその炎魔を形見の鎌で倒す。
火穂は深い傷を負いながらも一命をとりとめるのだった。
もう一人の花嫁が村で降ろされた後、回収車は炎魔らしきものに襲われる。
ところがそれは炎魔ではなく、火穂の村の守護神である龍だったのだ。
回収車の人はほぼ殺され、灯子も襲われそうになったので、必死で倒したものの、こうして村の守護神は死んでしまったのだ。
そして残ったのは、灯子、かなた、火穂、そして灯子の面倒を見ていた照三だけだった。
3人と1匹は木々の人に助けられる。
そこで守護神である龍が回収車を襲ったのも、村々で起きている異変も、皆<蜘蛛>の仕業だということを言われる。
神族が統べているこの世界にほころびが出ていると言うのだった。
そして木々の人は首都まで送り届けることはできないということで、ある村まで送り届けてくれる。
そこで流れの火狩りを生業にしている女の子、明楽に出会う。
明楽は3人と1匹の素性を見破り(照三は身分を偽っていた)、灯子が持つ紙を代金に首都まで送り届けてくれると言うので、それに乗ることにする。
途中、明楽に、木々の人に聞いたような話をまた聞く。
どうやら火狩りの中でもこの異変に気付き、千年彗星<揺るる火>が帰ってくると言うのだ。
それは遠い昔、人間が作った星で、神族の手も借りて人間の姿をした機械人形らしい。それを月の手前に設置して、和平を司る星としたのだが、最後の戦争の時に軌道から外れてしまった。
それがまた戻ってくるらしく、その星を狩れば、昔の火と技術が手に入るので、よりよい世界になることが期待できるのだ。
しかし火狩りの一人が神族にそれを伝えると殺されてしまった。なぜなら神族にとっては都合の悪い話だからだ。
その火狩りこそが明楽の兄で、その兄の意志を継ぐべく、明楽は火狩りになり(女の子が火狩りになるのはとても珍しいらしい)、神族である手揺姫に直訴しようとしているのだった。そのため、灯子が持っている無垢紙という、それに書けば神が見るという紙を欲しがったのだった。
明楽によると、神族と反目する<蜘蛛>も<揺るる火>を狩ろうとしているはずで、<蜘蛛>が手に入れたら取り返しのつかない状態になると危惧している。
そんなことを話していたら、弱っている<蜘蛛>の子ども、クンに出会い、助けてあげる。
クンによると体を燃やさない虫や、獣を狂わせる虫などが生まれ、<蜘蛛>は体を燃やさない虫を自分たちに噛ませ、獣を狂わす虫を炎魔や龍に噛ませたと言う。
クンは、虫に噛ませてもうまく適応できず、置いていかれたというのだった。
すると大勢の<蜘蛛>たちに襲われ、一行は命からがら海に出る。
照三は深い傷を負い、明楽も怪我をする。
海の神さま、ハカイサナに出会った灯子は、無垢紙を使ってハカイサナに無事に首都へ行けるよう守ってくれるよう祈る。
ここまでが灯子のお話。
実際はもう1人の主人公と交互で語られる。
もう1人の主人公は首都に住む煌四。
首都は、工場で働く貧しい人たちと、工場のオーナーである裕福な人たちと真っ二つに分かれている。
煌四は貧困層に属する。
煌四の父親は火狩りで、一人で誰にも言わずに遠征したきり消息を絶ってしまっている。
因みにその火狩りこそが、灯子を助けて死んでしまった火狩りであるのは、すぐに分かる。
母親は工場に勤めていたが、工場勤務の多くの人にあるように、工場から出る毒が原因で死んでしまった。
煌四には妹もおり、妹を身ごもっている時に毒にあてられたのが原因で、妹、緋名子は虚弱体質である。
母親が亡くなった時、燠火家に呼ばれる。燠火家というのは煌四たちの父親が専属していた工場の主だった。
煌四一人で燠火の当主、油百七に会いに行くと、煌四の父親が雷火をこっそり持っていることを当てられる。
雷火とは、普通の炎魔から取れる火とは違って希少価値の高いもので、落獣から取れるらしい。それを取ると、神族に献上しなければいけないという掟がある。それなのに父親が密かに家の地下にいくつも保管していたのだった。
油百七によると<蜘蛛>が襲ってくるのを予測されており、もし<蜘蛛>が襲ってくると神族は我々人間をあっさり見捨てるだろうと言う。
なぜなら、本来であれば工場の毒というのは出さないでも済むはずなのである。
それなのに神族はそういったことに無頓着なのは、人間を使い捨てのようにしか扱っていないからだと言うのだ。
だから<蜘蛛>が襲ってきた時には、人間は人間で自分たちの身を守らないといけないのだ。
信用のおける火狩りたちに調査を依頼していて、<蜘蛛>が襲ってくるのはほぼ間違いないと言う。
そのために、雷火で武器を作って欲しいというのが煌四への依頼だった。
その代わりに、煌四と緋名子はこの屋敷に住むことができ、更に緋名子は素晴らしい医者に診てもらえるのだ。
妹のためにもその話に乗った煌四だが、戸惑いは残ったまま。
なぜなら、雷火で武器を作るということは妹にも誰にも言ってないけなくて、油百七の書斎にある地下室でこっそり実験を繰り返しているからだ。
そして特待生として行っていた学校にも行かず家庭教師を付けてもらっている。
油百七には娘がおり、綺羅という。
綺羅はとてもいい子で、緋名子ともすぐ仲良くなる。
しかし父親である油百七や、母親の火華にどこか遠慮しているようで、まるっきり普通の家族という雰囲気ではない。
更には、火華の様子が時々おかしくて、優しい時もあれば冷たく皮肉ることもある。
しかもある時、煌四は麻薬の匂いが火華からするのを嗅いでしまう。
煌四は雷火について調べるため、富裕層や一部の人にしか開かれていない図書館に赴く。
そこで、自分はまだ習ったことがないけれども、学校の名物先生に出会う。
その先生も煌四のことを知っていて、煌四に何を調べようとしているのかを聞くので、煌四はとっさに「火について」と答える。
そこで、こっそりと先生がある階を探すように助言する。前に知人に頼まれて、知人をこっそり図書館に忍びこませ、その知人がその階に本を隠したらしいのだ。
煌四は炎魔も毛皮で作られた表紙の本を見つける(因みに後日、先生には見つからなかったと伝える)。
そこには<揺るる火>について書いてあったのだった。
煌四はなんとか雷火が武器になりそうなめどを見つけるのだが、それを油百七に言えないでいた。
どうしても迷いが生じていたのだ。
そんな折に、油百七の数人の火狩り客人に交じって、見慣れない火狩り、炉六と知り合う。
雷火を売りつけようとしていたのを知り、雷火について教えて欲しいと頼むと、夜、こっそり屋敷を抜け出してくるように言われる。
こうして抜け出して、落ち合ったところで話が終わる。
続きが楽しみ!!!
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